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「自立支援介護」という考え方

日本自立支援介護・パワーリハビリ学会という学会がある。理事長は竹内孝仁・国際医療福祉大学大学院教授である。同時に氏は日本ケアマネジメント学会副理事長でもある。竹内は「自立支援介護」という名のケアの理論と実践を提起ししている。

以下は日本自立支援介護・パワーリハビリ学会(理事長 竹内孝仁)のホームページに掲げられた自立に対する同学会の見解である。やや長文になるが竹内の自立に関する考え方がまとめて示されているので引用する。

「はじめに『自立とは何なのか』ということを簡単におさらいしていこう。WHO(世界保健機関)では、身体的に病気がないだけではなく、精神的かつ社会的に良好な状態を「健康」と定義している。
これは、WHOが特別にそういう表現をしたわけではなく、人間は身体、精神、社会の3つの要素から成り立っているという事実に基づいて言っているにすぎない。

したがって自立に関しても、身体的自立、精神的自立と社会的自立という3つに分かれ、さらに障害児、障害者、それから高齢者という3つの分類に対し、自立というものの課題がそれぞれ違ってくる。   中略
 高齢者の場合には、長期にわたって身体、精神、社会的自立の人生を送った人が、身体的な自立だけを失っていき、そこから家族の介護負担が生まれている。高齢者は精神的自立や社会的自立を追い求める必要はなく、ADL(日常動作)をもう1回自立できるように戻してもらって、生活を整えていけばいいのである。ADLが自立すればQOL(生活の質)も向上し、ADLが自立すればIADL(手段的日常動作)という、買い物、 調理などの生活関連動作も自立していく。」(以上日本自立支援介護・パワーリハビリ学会ホームページより)

自立支援介護の主張する「自立」の問題

 「高齢者は精神的自立や社会的自立を追い求める必要はなく、ADL(日常動作)をもう1回自立できるように戻してもらって、生活を整えていけばいいのである」という竹内の主張は随分乱暴な話で、現場でケアマネジメントを行っているもの大きな疑問を持たざるを得ない。

もちろん、高齢者もADL(日常動作)の向上を目指す自立支援の必要性は疑いのないところである。しかし高齢期は加齢により徐々に心身機能の低下が避けられない時期であり、だれも避けられない死に向けて老いを受け止めていく時期である。同時に長生きすればするほど認知症、癌の発症率は高くなり病気との付き合いは避けて通れないのである。

こうした時期にADLの維持向上にこだわりすぎるとすれば、むしろそれはとても不幸な老後ということになりはしないか。

 ADLの向上のためのリハビリを行っていくことは大切なことである。同時に、老いを受け入れ、病気と折り合いをつける生き方、人に支えられて生きる生き方を身につけ、その人らしく生きていくために、利用者が生活を主体的に営めるように支援することを忘れてはいけないと考える。

「自立支援介護」という考え方

日本自立支援介護・パワーリハビリ学会という学会がある。理事長は竹内孝仁・国際医療福祉大学大学院教授である。同時に氏は日本ケアマネジメント学会副理事長でもある。竹内は「自立支援介護」という名のケアの理論と実践を提起ししている。

以下は日本自立支援介護・パワーリハビリ学会(理事長 竹内孝仁)のホームページに掲げられた自立に対する同学会の見解である。やや長文になるが竹内の自立に関する考え方がまとめて示されているので引用する。

「はじめに『自立とは何なのか』ということを簡単におさらいしていこう。WHO(世界保健機関)では、身体的に病気がないだけではなく、精神的かつ社会的に良好な状態を「健康」と定義している。
これは、WHOが特別にそういう表現をしたわけではなく、人間は身体、精神、社会の3つの要素から成り立っているという事実に基づいて言っているにすぎない。

したがって自立に関しても、身体的自立、精神的自立と社会的自立という3つに分かれ、さらに障害児、障害者、それから高齢者という3つの分類に対し、自立というものの課題がそれぞれ違ってくる。   中略
 高齢者の場合には、長期にわたって身体、精神、社会的自立の人生を送った人が、身体的な自立だけを失っていき、そこから家族の介護負担が生まれている。高齢者は精神的自立や社会的自立を追い求める必要はなく、ADL(日常動作)をもう1回自立できるように戻してもらって、生活を整えていけばいいのである。ADLが自立すればQOL(生活の質)も向上し、ADLが自立すればIADL(手段的日常動作)という、買い物、 調理などの生活関連動作も自立していく。」(以上日本自立支援介護・パワーリハビリ学会ホームページより)

自立支援介護の主張する「自立」の問題

 「高齢者は精神的自立や社会的自立を追い求める必要はなく、ADL(日常動作)をもう1回自立できるように戻してもらって、生活を整えていけばいいのである」という竹内の主張は随分乱暴な話で、現場でケアマネジメントを行っているもの大きな疑問を持たざるを得ない。

もちろん、高齢者もADL(日常動作)の向上を目指す自立支援の必要性は疑いのないところである。しかし高齢期は加齢により徐々に心身機能の低下が避けられない時期であり、だれも避けられない死に向けて老いを受け止めていく時期である。同時に長生きすればするほど認知症、癌の発症率は高くなり病気との付き合いは避けて通れないのである。

こうした時期にADLの維持向上にこだわりすぎるとすれば、むしろそれはとても不幸な老後ということになりはしないか。

 ADLの向上のためのリハビリを行っていくことは大切なことである。同時に、老いを受け入れ、病気と折り合いをつける生き方、人に支えられて生きる生き方を身につけ、その人らしく生きていくために、利用者が生活を主体的に営めるように支援することを忘れてはいけないと考える。

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