自立を考える その6
「自立支援型ケアマネジメント」を考える
厚労省は「自立支援型ケアマネジメント」を推奨しており、都道府県においてもケアマネを対象にその研修を行っている。「自立支援型ケアマネジメント」とは何か。国はその定義を明確にしていない。
私なりに、様々な厚労省等の資料からその概要をまとめると次のようなものであると考えられる。
・軽度者を対象にしたもの。
・運動機能の維持向上を行い生活に直結するIADLの維持向上を図ることを目的とする。
・その法的根拠は、介護保険法の第4条(国民の努力及び義務) 「国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。」
・そのためのケアマネジメントは、利用者の主訴にとどまらす、利用者の個人因子と環境因子を分析し、できない状態だけではなく、自立した日常生活を阻む真の課題を明らかにしていくこと。さらに、問題解決の主体は利用者であり、この過程を通じて利用者との合意形成が大切になる。
・他職種の専門職によって構成される地域ケア会議を活用すること。
要支援の高齢者とはいえその暮らしぶりは様々である、明日の暮らし向きに心を痛めながらつつましく暮らしている人、腰や、膝関節の痛みに耐えながら、道端に咲いた花を愛で、庭の草引きに生きがいを感じている人、猫を伴侶として自宅に閉じこもり孤独に耐えている人、元気いっぱいでグランドゴルフを楽しむ人の人もいれば、家族や人間関係に日々心を痛めている人もいる。こうした多様な要支援の高齢者はまた多様なニーズを持っている。こうした高齢者に、介護予防、重度化防止、ADL,IADLの改善という一本のスケールで立ち向かうケアマネジメントはとても無理があるように思われる。
本来ケアマネジメントとは、利用者のニーズを明らかにし社会資源と結びつけることにより継続的に利用者を援助する方法である。そのケマネジメントの大前提であり、出発点は利用者のニーズであり、決して介護予防ありきではないのである。
もう一度確認する、自立とは最後までその人らしい生活が送れること、自分自身の人生の主人公として生きられること。そしてそのために必要なのがADL,IADLの改善であるが、それは手段に過ぎないのであり、目的そのものではないということである。
こうした問題が生じるのは、高齢者のADL(日常動作)の向上を目指すことを自立支援と考えることによるものであると考えられる。
したがって、私に名前を付けさせてもらうならば、これは、「自立支援型ケアマネジメント」というより、国の進める自立支援、重度化防止のためのケアマネジメントということで「介護予防・重度化防止ケアマネジメント」と呼ぶのが正しいのである。
さらに現場で、予防ケアマネジメントという名の下でサービス利用の制限、抑制が行われるとしたら、ケアマネジメントの自殺行為であると言わざるを得ない。
そして、高齢者はこうしたケアマネジメントを選ばない選択肢も保障されるべきで、ケアマネジャーはこのことを認識すべきではないか。