「人生100年時代」の到来とケアマネジャー
2017年の日本人の平均寿命は男女ともに過去最高を更新し、男性は81.09歳、女性は87.26歳だった。医療技術の目覚ましい発展により今後さらに日本人の平均寿命は伸びることが予想される。
さらに、現在でも女性の4人に1人は95歳まで生きられるという推計結果や、100歳以上の人口が2050年には約70万人になるという推計結果が示されている。「人生100年時代」の到来である。
しかし、ケアマネジャーとして私は、慢性的な痛みに耐えながら、孤独の中で「生きていても厄介者、早くおむかえに来てほしい・・・」と「生きていたくもないが、死ぬこともできない」高齢者を目にしてきた。
さらに、手にミトンを付けられ、様々な管につながれ病院のベットに横たわり、吸痰のため苦痛を強いられた「死ねない」高齢者の存在を知っている。
戦後、もない頃の「人生60年時代」と「人生100年時代」を比べれば、老いて、不自由をかこちながら生きていく期間の長さは何倍もの長さである。
この高齢期を、加齢に伴う心身の衰えは避けられないにしろ、生きがいを持ち生きていける人は何倍もの幸せを手にすることとなる。しかしそうでない高齢者は何倍もの苦痛と孤独の期間を生きていくことになる。この長くなった高齢期をどのように生きるかは大問題である。
ケアマネジャーとして、要介護状態となって高齢期を生きる人達と向かい合ってきた。そして今、私はケアマネジャーとしていったい何ができるのかと自問する。
そんなとき私は宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節を思い出し、心に刻むことにしている。
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニソウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイゝトイヒ
北ニケンクワヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ