介護保険が危ない 2
その2 ヘルパーさんの毎日の支援が必要な認知症のご夫婦の場合
F市在住のAさん95歳は、夫のBさんと二人で暮らしています。夫婦ともに認知症状があり、二人とも要介護2の介護認定を受けています。
Aさんの娘さん達は、遠くの都会に暮らしていますが、両親を心配し月2~3回両親の介護に帰ってきます。そんなお二人の生活を支えているのが毎月20日以上訪問してくれるヘルパーさんです。
最近になりAさん自身の認知症の周辺症状が強く出現する事が多く、近隣住民がおこなう草刈に抗議したり、家の前に駐車している車を見て、隣の住民に抗議に出掛けて、杖で戸を叩く等の行為があり、日中の行動に目が離せなくなっています。
また、日課の理解が難しく、放置しておくと毎日同じ物を着ている為に、更衣介助を必要としています。配食弁当も届いていても、玄関先に置いたままになっている事が多く、火を使うと焦がすために、調理は困難であり、食事の準備、食事への誘導と服薬支援を必要としています。洗濯物を畳むこと等は出来ますが洗濯機や掃除機を使う事は出来ません。
身体面では、膝痛・腰痛の為に起居動作が困難で、家具等に掴まって立ち上がっています。歩行時は杖を頼りに移動していますが、左右への傾斜が見られ、外出時は見守りが必要となっています。
介護サービスの利用頻度は高く、昼前のヘルパー利用で、更衣交換、洗濯、昼食の準備服薬支援、掃除等を利用。日中は、自宅の庭に出る事が多く、午後2時に水分補給、トイレ誘導、更衣交換等の見守りの為にヘルパー派遣。夕方の食事提供、口腔ケア、更衣交換等ヘルパーの支援はお二人の生活にとって不可欠になっています。
要介護1・2の方が、総合事業へ移行されることになると、サービス利用の多いÅさんのような方は、回数制限を上回ることとなります。それでも欠かせない支援ですからヘルパーさんに来てもらうことになれば自費利用となるため、高額の負担を強いられ、在宅での生活を諦めるほかなく、施設入居を考えざるを得なくなることも考えられます。