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利用者本位を考える その2

用者本位を危うくするケアマネジメントの課題 

介護保険の基本的な理念である利用者本位を体現するのがケアマネジャーであり居宅介護支援事業所の役割である。しかし、その役割が十分果たせていないとすれば、その原因には二つの問題があると考えている。一つはケアマネジメントそのものの問題であり、二つ目は居宅介護支援事業所の公平、中立、独立性といった組織上の問題があると考える。二つ目の組織的な問題は次に譲るとして、ここではケアマネジマントそのものの課題について考えてみたい。

一つは、御用聞きプランと言われる、利用者の要望のみで、きちんとしたアセスメントを行うことなく作成されたプランである。何でもかんでも利用者の言うとおりにすることが利用者本位ではないということは明らかである。

では次のケースを利用者本位という視点からどのように考えるべきなのか。

難しい病気があって要介護4で、いろいろサービスが使えるけど、奥様に看てもらって、毎日昼間から一杯飲むのが楽しみで、デイサービスは休止。奥様は「お父さんの好きなようにしてあげたい」とは思うものの心身ともにくたくた。

デイサービスには、昔なじみの親しい友人が参加していて、その日なら・・と、周りを喜ばせてくれるが、いざその日になると「体調が悪い」と休んで、又一杯・・

利用者の要望は、家で妻に看てもらいながら一杯飲んで過ごすことである。しかしこのままでは妻の負担が大きく、ひいては夫婦共倒れという可能性も考えられる。そうした意味ではその事態に対する介入は広い意味で利用者本位の原則に反するものではないのであろう。

先にあげたケースのように、利用者と家族との関係をめぐって、利用者本位の支援は難しい問題が多い。入所を希望する息子や娘たちと、入所はしたくないが、子供たちにも迷惑をかけられないと悩む高齢者に、利用者本位という原則を理解するケアマネジャーはどのようにかかわれるのか。認知症の利用者等その意思表示が難しいケース、利用者の判断能力に著しい問題があるケース等も、利用者本位等という支援の原則と現実的な対応に苦慮する事例は少なくない。

このように難しいと言われる事例においても、ケアマネジャーは終始利用者の代弁者でありたいと、私は思う。そのためにはきちんとアセスメントを行いうこと、とりわけアセスメントをしっかり行うことで利用者の思いをどこまでくみ取れているかはケアマネジャーに問われる大きな課題である。そこにこそ対人援助の専門職としてのケアマネジャーの真価が求められているのであろうと考えている。利用者本位という原則は簡単に見えるが、その実践は難しいことが多いのである。

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