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介護保険制度

介護保険20年、今何が問われているのか

 今年4月で介護保険が20年を迎えます。コロナウイルス関係の報道が紙面にあふれている中でも、20年を迎えた介護保険について新聞各紙で様々な論説が述べられています。

それらを概括すると、制度としての介護保険は定着した。しかし、「介護現場での深刻な人材不足」「国民民負担は限界になっている」、高齢者の増加やサービス利用の増加により「介護保険財源のひっ迫」等の多くの課題を抱えているという各紙共通の指摘が見られます。

同時に、この間の国の見直しは、制度を守ることを優先するあまり、負担増とサービスの縮小の繰り返しに終わってきたという指摘(高知新聞・京都新聞)もその通りであろうと思います。

しかし、その解決策については「介護する人への支援を強化するには、自治体が要望する国の税金投入も考えるべきだ。」(高知新聞)  「介護保険料を納めているのは40歳以上の人である。対象年齢を引き下げて支え手を増やすことを真剣に考えるべきときではないか。」(産経新聞) 「軽度者向けの家事援助まで介護保険サービスで行っている。これらを市町村の事業に移すことが求められる。」(読売新聞) 「大事なのは『介護の社会化』という原点である。制度維持を優先する余り、それを見失うことがあってはならない。」(京都新聞)等様々です。

いずれにしても高齢化の進展、とりわけ介護が必要となってくる後期高齢者の増加は不可避な事実であり、それに伴う費用の増加は、我々に、その費用をどのように捻出するか、だれがどのように負担するかを問いかけているのではないでしょうか。

 国は、この問いに対し介護保険の利用者負担を増やし、給付されるサービス利用を制限、抑制し、介護にかかる報酬(介護報酬)を低く抑えることにより制度の持続可能性に対応しようとしています。たとえば今、俎上に載せられているのが、要介護1・2の利用者の生活支援サービスを介護給付から外し、地域支援事業に移行しようとしていることなど。しかしこうした政策の先に見えているのは、介護人材の不足をいっそう深刻にし、支援が必要な高齢者の介護サービスの利用から遠のけ、そのことにより利用者の重度化をまねき、さらに介護を社会の手で、として始まった介護保険をやせ細ったものにすることにより、家族の介護負担を大きくし、再び深刻な介護問題を生み出してしまうのではないでしょうか。

 では避けられない費用の増大に対してではどうするか、各紙の社説の中に根本的な解決は示されていないように思います。この難題に対する解決を提示できるマスコミの意見を、現状では見出すことはできないようです。

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