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ケアマネのつぶやき

訪問介護を考える

 何らかの介護が必要になっても、在宅で生活するうえで介護保険は様々なサービスを提供することができる。その中でも最も必要性が高く、頻度も多く利用されるのがホームヘルパーによる訪問介護サービスである。

ところがいま訪問介護の人材不足が深刻になっている。介護保険の早い時期から頑張ってこられたヘルパーさんが段々高齢化し、かといってなかなか若い方が入ってくることが少ない職場である。ケアマネジャーがケアプランを作っても、なかなかご本人の希望通りの訪問介護を利用した計画が作成しづらくなっている。このまま推移すると、訪問介護という介護保険のサービスは存在するが、実際は利用できないサービスになりかねないと懸念するのは私だけではない。

 介護保険法第二条には 「介護保険は、被保険者の要介護状態又は要介護状態となるおそれがある状態に関し、必要な保険給付を行うものとする。(中略)保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。」

この介護保険の目的を達成するための、もっとも基盤となり、必要不可欠なサービスが訪問介護であると考えている。したがって訪問介護の人材不足は単に一職種、一サービスの問題というよりは、介護保険の基盤にかかわる問題として考える必要があると思っている。

具体的な解決には、なんといっても訪問介護の介護報酬の引き上げが必要である。これまでは介護職員の処遇加算という形で一定の配慮が行われてきたが、あくまで基本報酬の引き上げとして行われるべきであると考える。

あわせて、訪問介護を考えるうえでもう一つの問題は、現状の介護保険サービス上の訪問介護は身体介護と生活援助に区分されており、それぞれの介護報酬が算定される。生活援助とは、調理、掃除等といった家事の支援のことを指すが、これらの生活支援は身体介護より低い報酬となっている。しかし、実際の生活の中で身体介護と生活支援は連続して行われるものであり、机上で身体介護と生活支援を区分するようにはならない。なぜなら生活というのはそういうものなのである。国のこの考え方は、身体介護は専門職としての介護であり、生活支援は主婦ならだれでも行えるもの、といった考え方が反映されている。しかし、この間の訪問介護の実践は、生活支援という仕事が、だれにでもできる単なる家事ではなく、高度な専門的知識と技術をもってして行われるべき仕事であることを明らかにしてきている。

訪問介護の身体介護と生活支援の区分を廃止して一本の評価とすべきである。この点で介護職員らの労働組合「日本介護クラフトユニオン」(NCCU)が、厚生労働大臣に宛て提出した要望書で、介護報酬の引き上げなどに加え、「生活する上での一連の流れであり、切り離してサービスを行うことは困難だ」として、身体介護と生活援助のサービスの一元化を求めていることは注目に値する。

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