1. HOME
  2. ブログ
  3. ケアマネのつぶやき
  4. 2020年を振り返って

つぶやき

つぶやき

ケアマネのつぶやき

2020年を振り返って

今年は、なんといってもコロナウイルス対応に追われた一年であった、というのが皆さんの共通する思いではないであろうか。

要介護高齢者とその家族にとってもその影響は大きかった。もちろん感染の恐怖は大きくそれぞれが対応に苦慮されていたことだろう。特に感染予防という視点で家族との面会が大きく制限された施設入所者ご本人とその家族は大変つらい思いをされた。オンライン面会とか別室で窓越しの面会等工夫もされたようであるが、難聴の方や認知症のある方にとって、いかほどの意味がある面会であったかは定かではない。在宅で生活している高齢者も、コロナウイルスの感染がひどい都会に住む息子や娘たちとの出会いが大きく制限された。感染の恐れがあるということで、そうした親族が来た場合、デイサービスを休んでください、ヘルパーの派遣はしばらく中止します、といった介護事業所の対応で、親族との楽しい交流を断念した方も多かったようである。

 高齢者にとって、息子や娘そして孫といった親族との交流は、その生活の中で貴重な意味を持つものだ。特に孤立した生活を強いられ、孤独と向き合うことの多い要介護高齢者にとってのそれは何事にも代えがたいものであることは想像に難くない。ある高齢者にとってそれは生きる意味を確認することである場合もある。その機会がコロナウイルスに奪われたのである。

 コロナに感染したという人や家族が、地域のむごい仕打ちや視線の中でいたたまれず、長年暮らしてきた家を離れたといううわさ話がまことしやかに語られる。それが事実かどうかは知らないが、コロナに感染した人や濃厚接触者を排除しようとする住民の意識は確かにある。コロナウイルス感染者が出ていないこの地域で、「感染者第一号だけにはなりたくない」と話す人は多い。コロナウイルスに感染すること以上に怖いのは、同じ地域で暮らすそうした人々の視線なのかも知れない。こうした住民の意識は、近所に障碍者や高齢者の施設ができることを反対する住民の意識と地続きではないかと思う。社会に害を為す、或いは役に立たない人々を排除・隔離することで社会の健全性を高めようという社会防衛思想ともつながるものである。不平等感の強い社会では、こうした住民の中での軋轢を生み出しやすく、社会防衛思想の温床になっているのではないであろうか。

 一方で、ソーシャルキャピタルという考え方がある。地域社会において、近隣づきあいの盛んな地域や相互の信頼関係の高い地域、あるいは社会的活動への参加者が多い地域は、ソーシャルキャピタルが豊かな地域であると考えられ、このような豊かな人間関係のある地域では、犯罪が少なかったり、失業率が低い、出生率が高くなるなど、人々の暮らしやすさが高まると考えられている。

今、コロナ禍の中で「新しい生活様式」が言われている。我々が住む地域が、すべての人にとって暮らしやすい地域の新しいあり様を考えていくことが必要だと、新型コロナウイルスで明け暮れたこの一年を追える今考える。

関連記事