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ケアマネのつぶやき

厚労省の通知と介護現場の苦悩

2月8日厚労省から「感染が拡大している地域の家族等との接触があり新型コロナウイルス感染の懸念があることのみを理由にサービスの提供を拒むことは、サービスを拒否する正当な理由には該当しない」との事務連絡があった。

この通知は、介護事業者にとって衝撃的な通知となった。なぜなら、この地域でもコロナウイルス対策として「感染が拡大している地域の家族等との接触のあった要介護者」に対し「2週間程度サービスの利用をお控えください」といった事業所、特にデイサービス事業所が多数あったからである。

この厚労省の事務連絡を読んだある事業所の責任者は、「GoToキャンペーンを行うなどコロナ感染にきちんと対応しなかった国が、今更こんな通知を出して、その結果、施設でクラスターが発生したら厚労省はどんな責任とってくれるのか」と怒りとも嘆きともつかない声で語ってくれた。
  ウイルスは自然発生するわけではなく、多くは感染拡大している都市部から地域への感染である。陽性でも無症状の方もおり、知らず知らずに感染を拡げてしまうリスクが高く、何らかの疾患を持つ人がほとんどであるデイサービスに通う高齢者が感染すると、重症化や最悪死亡してしまう可能性すらあるし、クラスターの発生は避けられない。ましてや介護の現場でソーシャルディスタンスをとることなどはほとんど不可能である。厚労省は「感染防止対策を徹底したうえで在宅の要介護者に対して必要なサービスを継続的に提供されるように」というが介護スタッフに防護服、キャップ、ゴーグルつけて、パーテーションでもしながら介護しなさいということになるのか。
  ケアマネジャーからみるとこの通知の受け止めはやや違うものとなる。久しぶりに都会から訪ねてきた子供がいるということで、サービス利用をしばらく休んでくださいといわれ、ではその間どのようにしてその利用者の生活を成り立たせていくか、ケアマネジャーは代替サービスを求めて奔走する。ひょっとしたらコロナウイルスに感染しているかもという利用者にはなるべくご遠慮願いたいという事業所の気持ちはよくわかる。しかし利用者にもそれなりの理由があるからサービスを利用しているし、簡単に「はいそうですか」とはいかない事情を抱えた利用者もいる。

この間、介護現場では新しく発生したこの新型コロナウイルスの対策に頭を悩ませながら、日々葛藤と工夫の連続であった。この厚労省の通知は介護事業所にコロナウイルス対策の新たな悩みと選択を迫ることとなるのであろうか。

こうした中で、今重要なことは高齢者施設などでの社会的検査ではないかと考えている。現在、全国の半数を超える25都府県が社会的検査を実施または計画していると報道されている。厚生労働省も4日付の事務連絡で、感染多数地域における高齢者施設の職員への定期的PCR検査を行うよう通知。さらに、それ以外の地域(県)にも幅広い検査の積極的実施を求めている。高齢者施設に定期的なあるいは必要時にPCR検査が確実に実施されれば介護従事者の不安を少しでも和らげることはできるのではないか。

とりあえず、この厚労省の通知をどう考えるか、自らの事業所の対応をどうするかは。それはそれぞれの事業所の判断しかないのであろう。何せコロナは未知のウイルスで最終的に介護現場でどんな対策が正解なのかは誰にも分からないのである。

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