マスクと非言語コミュニケーション
コロナウイルス対応が求められる昨今。困ることの一つにマスクがある。マスクをつけて高齢者とお話をするとなかなか思うように話が通じない。きっちり話をしなければと思うとき、ついついマスクを外してお話をすることもしばしばある。
そんな時、「メラビアンの法則」という心理学の考え方を思い出す。
1971年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学名誉教授であったアルバート・メラビアンによって発表された。「感情的なメッセージを伝えるときに、声のトーンやジェスチャーが言いたいことと一致していないと誤解させてしまう可能性がある」というもの。
「7-38-55ルール」とも言われている。メラビアンは、人間は他人とコミュニケーションを取るとき、言語・聴覚・視覚の3つの情報から相手を判断している、と仮定した。
情報が相手に与える影響は、
- 言語:7%
- 聴覚:38%
- 視覚:55%これが「7-38-55ルール」とも言われる所以である。表情やジェスチャーである視覚情報が与える影響は最多の55%。笑顔で話すのと無表情で話すのとでは、伝わる結果は大きく変わることになる。次に、話の内容、言葉の意味を指す言語情報が与える影響は最小で7%にすぎない。最後に話すスピードや声のトーンなどを指す聴覚情報が与える影響は38%。穏やかに話すか、怒鳴りながら話すか、話し方の違いで同じ内容でも相手への伝わり方は変わることとなる。話の内容はもちろん重要であるが、大きな影響を与えているのは、表情やジェスチャーなどの視覚情報だった コミュニケーションは大きく2つの種類に分けられる。バーバル・コミュニケーション(言葉を使ったコミュニケーション)とノンバーバル・コミュニケーション(非言語コミュニケーション)です。メラビアンの法則は、ノンバーバル・コミュニケーションは受け手に与える影響がとても大きいことを示している。マスクをつけて話をするということは、単に高齢者に聞き取りにくいということだけでなく、高齢者が視覚を通して得ている情報の少なくない部分をマスクで隠してしまっているのである。コロナ禍と言われる中で、ケアマネジャーはコミュニケーション、特に非言語コミュニケーションに工夫が求められていることは間違いない。