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つぶやき

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ケアマネのつぶやき

ケアマネジャーは「何でも屋」

色んなところから、「○○さんのケアマネジャーですか」という連絡が入る。かかりつけの先生から、「書類が届いていないけどケアマネさんどうなってるの」とケアマネジャーがお叱りをいただく。救急隊の隊員から、救急搬送を依頼した利用者について「ケアマネジャーは誰なの」「病院について行ってくれるんでしょうね」と当然のように言はれる。時には行政機関から「○○さんについてこんな苦情が来ているが、ケアマネジャーさんどうなっているの」といった連絡もいただく。ともかく要介護認定を受けている利用者について、いろんな方面から、何かと連絡、注文、苦情・・・をいただくことが多い。

ケアマネジャーの中では、「一体ケアマネの仕事ってどこまでなの・・・」といった嘆きともつかない話が交わされる。難しい問題である。でも介護保険の初めからかかわっているケアマネジャーとしては、そんな現実もなんとなくうれしくなる。介護保険の始まりと同時にケアマネジャーはその仕事を始めた。利用者さんとともにかかりつけの先生の受診に同行すると、その主治医からは完全無視、どこの馬の骨ともわからないものに患者さんの情報はお話しできませんということである。ケアプランを届けると「これ何」と冷たくあしらわれることも珍しくなかった。仕方ないのである。介護保険が始まってケアマネジャーという名前も知られていない。ましてやケアマネジャーと名乗る人間が何をしてくれるのかを知ることになるにはしばらく時間がかかることになるのだ。そんな苦い思いをしながら、針の穴を広げるようにいろんな場面で、ケアマネって役に立つのよ、ということを認めてもらうように地べたを這うような努力を続けてきた、と言うとかっこよすぎるだろうか。いや、これは介護保険の初めからその仕事にかかわってきた多くの心あるケアマネジャーの実感であると思う。そして今日、ケアマネとは結構役に立つ存在であることを、いろんなところで認めていただくようになったのである。そうしてみると、思いがけないところからお声がかかるのも決して悪いものではないと考えたりする。

さてこれからである、何でも屋のケアマネジャーか、いや対人援助の専門職なのか。自問自答する。「一体ケアマネの仕事ってどこまでなの」という議論に結論を出すのは難しい。それは援助をすべき利用者やその人を取り巻く状況で、かかわり方やその範囲はおのずと異なってくるからである。家族がいる方と独居の方ではかかわりの程度は自ずから変わってくる。認知症や適切な判断の困難な利用者の場合、かなり濃密なかかわりを求められることもある。ケアマネジャー個人の特性によりその線引きが異なってくる、というのも現実である。

ケアマネジャーは第一義的には利用者の介護、特に介護保険の給付にかかわるのであるが、仕事はそこにとどまらない。その利用者の生活全般にかかわっていく。その仕事には、必然的に「何でも屋」にならざるを得ない状況が潜んでいるのである。ここはケアマネジャー自身が自覚しておく必要がある。そして肝心な仕事と「何でも屋」との区別、判断を見失ってしまうと、それはプロの仕事師としてのケアマネジャーの存在を危うくすることになる。

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