1. HOME
  2. ブログ
  3. ケアマネのつぶやき
  4. 高齢者の孤立(その3)

つぶやき

つぶやき

ケアマネのつぶやき

高齢者の孤立(その3)

 「孤独のリスクは、1日たばこ15本吸うことに匹敵」「肥満の2倍」「心疾患のリスクを29%上げる」「20%早いペースで認知機能が衰える」「アルツハイマーになるリスクが2.1倍」

これは角川新書の「世界一孤独なオジサン」(岡本順子)の帯に並ぶ言葉である。

その結果が孤独死あるいは孤立死といわれる、人生の最後のやるせない現実である。しかもその7割とも8割ともいわれているのが男性である。一人暮らしの男性は危ない人生の最後をおくることになるのであろうか。

孤独死とは、主に一人暮らしの者が誰にも看取られることなく、当人の住居内などで生活中の突発的な疾病などによって死亡することを指す。特に重篤化しても助けを呼べずに死亡している状況を表すといわれている。この無残な死を孤立死、あるいは無縁死などとも呼ぶ。孤独死についてはその操作的定義が明確でないため、いろんな報告はあるがその実態は必ずしも十分解明されているとは言えないが、その多くが男性であることには間違いないようである。

ケアマネジャーや介護保険関係者がこうした孤独死に直面することは少ないであろうと考えている。なぜならこうした無残な死を遂げる人たちは長期にわたって、人との関係を結ぶことなく、病を得、やがて重篤化して死を迎えるのであるが、ケアマネジャーやサービス事業所の職員が関わっていることが多い介護保険の利用者は、そこまで至ることは少ないと考える。

但し、ヘルパーが朝訪問したら、利用者が家のベッドで亡くなっていた、というようなケースがないわけではない。このようなケースは孤独死とは別に、単に独居者が住居内で亡くなっている状況を指す独居死といわれる。むしろその死は、まさに眠るがごとくその生を全うしたのであり、多くの高齢者はそうした最期を望んでさえいる。上野千鶴子はその「在宅の一人死のススメ」の中で「わたしは家族がいませんので基本、ひとりで暮らしています。現在72歳。このまま人生の下り坂をくだり、要介護認定を受け、一人静に死んで。ある日、亡くなっているのを発見されたらそれを『孤独死』とは、呼ばれたくない。それが本書の執筆動機です。」と記している。

こうした孤独死に象徴されるような高齢者の孤立は、今日の社会の中で大きな課題であるとされている。そうした社会的課題を視野に入れつつ、日々のケアマネジャーの仕事は続けていくことになる。

関連記事