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ケアマネのつぶやき

家で死ぬ(その1)

ピンピンコロリとは、病気に苦しむことなく、元気に長生きし、病まずにコロリと死ぬという意味である。略してPPKとも言う。かって長野県ではピンピンコロリ (PPK) 運動として取り組まれた地域があったと聞く。実現の可能性は確かではないが、多くの高齢者の願いであることは間違いない。だから全国には「ぴんころ地蔵」「ポックリ寺」「ポックリ薬師」「コロリ地蔵」と高齢者の願いをかなえてくれそうなお寺やお地蔵さんがたくさんある。

「人間の生き死に」の問題を完全に我々の手にすることは今後もできないであろう。しかし自分の(一人称の)死を考えることはとても大切な問題になっていると考える。具体的には「どこで死ぬか」「病に侵され回復が見込めないとしたときどのような終わり方をするか」という問題が、今問われている。

今回は「どこで死ぬか」という問題をめぐって、特に「家で死ぬ」ことにこだわって考えてみたい。

多くの人は自宅での死を望んでいる。厚生労働省の『平成29年度人生の最終段階における医療に関する意識調査』によると、「もしあなたが末期がんのような病状となった場合、どこで過ごしながら医療・療養を受けたいですか」との問いに対して、「自宅」との回答が全体の46.1%を占め最も多くなっていた。さらに、先の質問に医療・療養を受ける場所として「自宅」と回答した方を対象にした「どこで最期を迎えることを希望しますか」との問いに対しては、「自宅」と回答する人が全体の70.6%を占め、「医療機関」は10.8%にとどまっていた。また、同調査で「医療機関」または「介護施設」と回答した人に対して、「なぜ自宅以外を選択したのか」という質問を投げかけている。その回答割合をみると、最も多かったのが「介護してくれる家族等に負担がかかるから」という理由で、全体の64.7%を占めていた。この調査の結果から、末期がん等になった場合、最期の場所として自宅を望んでいる人が相当数になることが読み取れる。 

2019年の日本人の死因の順位は第1位「悪性新生物(腫瘍)」、第2位「心疾患(高血圧性を除く)」、第3位「老衰」となっている。この第1位「悪性新生物(腫瘍)」と第3位「老衰」は、最期の場所を自分の意志で決めることができる可能性を示しているのではないか。

しかし現実には、圧倒的に多くの人は病院で亡くなっている。しかし少し流れは変わっている。2006年以降、病院死の割合が減り続ける。2010年には80%を下回り、11年後の2016年には7ポイント近くも下がった。割合は下がったが、絶対数は前年より10万人近くまだ増えている。病院死の割合が減少してきたが、自宅死が増えたわけではない。2016年の自宅死割合が、前年から0.3ポイント増えて13%になり、13年ぶりに2003年の水準に戻った。ずっと12%台だったのが、やっと13%台に乗ったに過ぎない。病院死の割合を押し下げた主因は、高齢者施設での死である。高齢者施設での「看取り」が進んだこともあり施設死の割合は、2005年にはわずか2.8%であった。それが2016年には9.2%にまで大きく伸びている。

多くの人は在宅での死を望んでいる。しかし現実にその望みをかなえることは大変難しいのである。そんな中で、次回からケアプランセンターあすかのささやかな実践を通して

「家で死ぬ」ということを考えてみたい。

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