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ケアマネのつぶやき

高齢期はいくつから

わが国を含む多くの国で、暦年齢 65 歳以上をもって高齢期とされている。し かし、近年、この高齢期の定義が現状に合わない「若返り」ともいうような 状況が生じている。今の高齢者の「若返り」を明らかにした代表的な研究に、健康・生活機能・死亡の予知因子であることが知られている「通常歩行速度」を、1992年と2002年で比較した「日本人高齢者における身体機能の縦断的・横断的変化に関する研究」がある。その結果を見ると、2002年の高齢者は1992年の高齢者よりも“約10歳程度”若返っていることが確認できたといわれている。一昔前の、60歳の還暦とともに隠居して暮らすといった高齢者の姿と今の高齢者を比べると、こうした高齢者の「若返り」ともいえる状況は多くの人が実感できることだろう。

こうした中で、2017年1月に、日本老年学会と日本老年医学会が高齢者(期)の定義を見直す提言を行った。

65~74 歳 准高齢者 准高齢期 (pre-old) 

75~89 歳 高齢者 高齢期 (old) 

90 歳~ 超高齢者 超高齢期 (oldest-old, super-old) 

もちろん、個人差はあるものの、70代前半までは元気にボランティアや趣味の活動に精をだしたり、仕事に従事する人も多い。この準高齢期という言葉は十分納得のいく定義ではないかと考える。

 同時に、こうして元気な準高齢期にある人たちに「わが事」として地域の様々な課題の解決に参加してもらうことができるかどうかが、「地域共生社会」の成否にかかわっているともいえる。

こうしたまだ元気な準高齢期を過ごし、70歳台後半から80歳を超えると急速に身体の不調を訴え、衰えを感じる人が増えるようだ。先には元気な高齢者たちを「若返り」と紹介したが、佐藤真一はそうした現象を「年をとってからの老化の速度が遅くなった」※1と表現している。その結果「ひと昔の人は50歳くらいから徐々に弱っていったのです」が「75歳か80歳ぐらいまでは元気でいて急に弱るのが現代人のパターン」と佐藤は説明している。これまでも多くの高齢者と接してきたケアマネジャーとしても、75歳くらいから徐々に弱り、80代の声を聴くとともに一気に身体の不具合を訴え80歳代には要介護状態になる高齢者が多いように実感している。「たいていは80歳半ばから、全身が猛烈な老化現象に攻め立てられ、起居に激痛、食事に誤嚥の危機、排せつに粗相の連続、目は疎く、耳は遠く、味覚・嗅覚も鈍麻し、もの忘れは激しく、あらゆる不定愁訴に悩まされ、若いころから喫煙していた人は息をするにも努力を要すという状態になる」※2と記しているのは医師であり小説家でもあった久坂部羊である。

                          (つづく)

 ※1「ご老人は謎だらけー老年行動学が解き明かすー」佐藤真一著 光文社新書

※2「廃用身」久坂部羊著 幻冬舎

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