いつまで続く面会制限
昨年から続くコロナ禍は要介護認定を受けている人やその家族にも少なくない影響を及ぼした。その中でも大変辛い思いをした人達が、施設に入所している高齢者とその家族の面会制限であった。コロナウイルスの感染状況がひどい時期は全く面会ができず。多少緩和された時でも、タブレットを使ったオンライン面会や窓やパネル越しの面会である。難聴の人が多い高齢者には施設職員が間に入って通訳してくれる施設もあった。しかしこうした面会はやむを得ないとはいえ、要介護状態にある高齢者とのコミュニケーションをとることは大変難しく、なんとも歯がゆいものであった。
そして、施設に入っている高齢者にとっても、この面会規制は決していい影響もたらさなかった。「認知症の人と家族の会」等が、9月に家族らに行った調査では、回答した253人のうち52%が「認知症の程度が進んだ」と答え、「オンライン面会では心身の悪化を止められない」などの声が寄せられた。
2021年11月9日の「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」において、1つの考え方が示されました。
面会については、引き続き、感染経路の遮断と、つながりや交流が心身の健康に与える影響という両方の観点を考慮し、地域における発生状況等を踏まえることに加え、ワクチン接種の進展等を踏まえ、安全な実施方法を検討することが適当。具体的には、地域における発生状況や都道府県等が示す対策の方針等も踏まえるとともに、入居者及び面会者のワクチン接種歴や検査結果も考慮した上で、管理者が、面会時間・回数を含めた面会の実施方法を判断すること。その際、入居者及び面会者がワクチン接種済み又は検査陰性と確認できた場合には、対面での面会の実施を検討することとする。なお、ワクチンを接種していないことを理由に著しく不当な扱いとならないよう留意し、ワクチンを接種していない入居者や面会者も交流が図れるように検討すること。
厚生労働省は、アドバーザリーボードの提言を受けて11月24日付通知を出した。新型コロナウイルス禍で面会が制限されている介護、障碍者などの福祉施設の入所者が家族らと直接面会できるよう、具体的には入所者と面会者双方がワクチン接種済か検査で陰性の場合は対面での面会を促すものとなっている。
今後これらの施設での対応がどのようになるかは、それぞれの施設の判断ということになるが、一日も早く入所の高齢者と家族が、コロナ禍以前のように面会ができることを心から望んでいる。