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介護保険が危ない(その2)

―その2 利用者負担を原則2割にー

社会保障審議会介護保険部会では次の令和5年度の介護保険制度の改定に向けた「給付と負担に関する指摘事項について」において「利用者負担を原則2割に」するという案が示された。

そこでは、「利用者負担については、2割・3割負担の導入を進めてきたが、今般の後期高齢者医療における患者負担割合の見直し等を踏まえ、介護保険 サービスの利用者負担を原則2割とすることや2割負担の対象範囲の拡大を図ること、現役世代との均衡の観点から現役世代並み所得(3割) 等の判断基準を見直すこと」としている。

介護保険サービスを利用する時にかかる費用は、サービス利用者が支払う分と、社会保険制度全体で負担する「介護給付」の2つから成り立っている。サービス利用者が負担する金額のことを「自己負担額」といい、現在は利用者が負担する金額は1割が基本で、残りの9割は介護給付から支払わる。但し現行でも利用者の所得金額により2・3割負担の方もいる※1

 この利用者負担が1割から2割になるということは利用者が支払う利用料は倍になるということである。

例えば、要介護5の利用者が限度額いっぱいまで利用した場合1カ月の利用者負担は72,434円となる。また、要介護1の利用者が同じように限度額いっぱいまで利用した場合1カ月の利用者負担は33,530円となる。今、1割負担の方の多くは基礎年金の受給者で月額4、5万円の年金の方が多いと考えられる。こうした年金受給者が要介護状態となって、普段の生活費にも充てなければならない年金額から、これだけの利用者負担を支払うことはできるであろうか。介護保険の支給限度額いっぱい使うことはできなくなるどころか、自分がもらう年金額との相談でその利用を大幅に制限せざるを得なくなることは容易に想像できる。ここでは介護サービス利用の抑制が進み、結果として自己負担に耐えられない低所得者層ほど介護状態の悪化を招くことになる。何のための介護保険かということが問われることになる。

※1現行の負担割合を決める合計所得金額は

2割負担 合計所得 280万円~340万円

3割負担 合計所得 340万円以上

合計所得は「年金収入(遺族年金と障害者年金を除く)」と「それ以外の所得」

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