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介護保険が危ない(その4)

  ―その4 要介護Ⅰ・Ⅱの利用者の通所介護、訪問介護を介護給付から地域支援事業へー

財政制度審議会は「要介護Ⅰ・Ⅱへの訪問介護・通所介護についても地域支援事業への移行を検討」と提言している。

介護Ⅰ・Ⅱの人のヘルパーとデイサービスの利用を介護給付から外し、市町村が実施する地域支援事業に移していこうというのである。現在すでに要支援1・2の利用者ではこの制度が実施されている。そこではどのような実態となっているのであろうか。

地域支援事業は市町村が行う事業であるため、市町村により様々な規制や料金設定が行われる。介護保険では支給限度額がありその範囲内で利用者が自由にサービスを選択して利用できるのであるが、地域支援事業として行われるサービスは、要支援1の利用者のデイサービスは週1回まで、ヘルパーの訪問は週2回までといいった制限が設けられている。「被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき」サービスが提供されるという介護保険の原則が損なわれることになっている。さらに、ここでは訪問介護は資格を持ったヘルパーさんだけではなくボランティアによるサービスも可能ということになっている。当然介護保険の訪問介護より安い料金設定になっている。しかし現実にはそうしたボランティアの参入はうまくいっていない。結果として資格を持ったヘルパーが安い料金で働くことになっており、そうでなくても人材不足で困っている介護現場により負担を強いる構造になっている。

総合事業は、市町村が中心となって、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域の支え合い体制づくりを推進し、要支援者等に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すもの、とされているが、現実にそこで起こっているのは、要支援1・2の利用者のサービス利用を制限し、介護現場に安上がりの仕事をおしつけ、介護に係る費用を抑制しているという現実である。

 要介護Ⅰ・Ⅱの利用者の訪問介護と通所介護が制限され、介護が必要な人にサービス提供ができなくなれば要介護状態の悪化と、家族の介護者の負担が一層大きくなることは容易に想像できる。介護給付を要介護3・4・5の重度者のみにすることは介護保険法第二条 の「介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態に関し、必要な保険給付を行うものとする。」「保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。」という介護保険の趣旨からしても許してはならないと考える。

 今後介護保険の改定をめぐっては、年内に部会で結論を得て、来年の通常国会で介護保険法の改定を目指すことになっている。介護保険の大改悪ともいうべき今回の改定に反対の声を上げていくことは、介護にかかわる専門職としてもその存在意義が問われることになるのではないか。

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