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ケアマネのつぶやき

介護予防支援計画の作成が居宅介護支援事業所にも

 要支援Ⅰ・Ⅱの利用者に関する支援計画の作成(介護予防支援)は今までは地域包括支援センターに限定されていた。厚労省は、居宅介護支援事業所なども指定対象として認めていくことを決めたようである。11月24日に開催した社会保障審議会・介護保険部会で、前回に続いてこの問題を論点として提示。ケアマネジメントの質を担保する観点から、包括に“一定の関与”を求めていく構想もあわせて説明し、大筋で了承を得たと報道されている。このまま進むと2024年度の制度改正での変わることとなる。今でも、介護予防支援を担っている居宅介護支援事業所は既にあるが、それあくまで地域包括からの委託という形となっている。

今回のこうした変更は、地域包括支援センターのみという指定対象の制限を緩和することで、包括が居宅に任せやすい環境を作りたい考えだ。背景には、高齢化などで包括に期待される役割が非常に多くなっていることがある。介護予防支援の負担を減らせれば、総合相談や権利擁護、ケアマネジメント支援など他の業務に力を注いでもらえるとして、自治体からも指定対象の拡大を求める声があがっていたと言われている。平たく言えば、地域包括支援センターは忙しいからこの際に介護予防支援は居宅介護支援事業所にやってもらおうということである。

もともと、介護保険が始まったときは、認定を受けたすべての人を対象にして居宅介護支援事業所のケアマネによりケアマネジメントは実施されていた。ところが2006(平成18)年4月、「予防重視型システムへの転換」ということで要介護者への介護給付と分けて、要支援者のケアマネジメントを、地域包括支援センターで介護予防支援という名で実施することとなったのである。このように介護給付と介護予防にケアマネジメントは分断されていたのである。この点について、かって「つぶやき」のなかで「二つのケアマネジメント」というテーマでふれたので、ここではその一部を再掲しておく。

「高齢者は、今が要支援状態にあり、介護予防という支援が必要な段階にあったとしても、その先にあるのは、加齢に伴う心身機能の低下した状態、つまり要介護状態に移行していかざるを得ないというのは自然の摂理である。したがって継続したケアマネジメントという視点から考えると、要介護者に対する介護給付のケアマネジメントと要支援者に対する介護予防ケアマネジメントの分断は大きな問題であるといえる。

 今日、介護予防ケアマネジメントを担っているのは地域包括支援センターである。しかし地域包括支援センターは元々の業務に加え認知症対応や「地域共生社会」等の新しい取り組みを求められ膨大な業務を抱えており、求められるものからすると十分機能しているとは言えない状態にある。こうした面からも、介護予防ケアマネジメントを地域包括支援センターの業務から切り離し、もう一度居宅介護支援事業所における高齢者のケアマネジメントとして継続して取り組めるようにすべきであると考えている。」

 今回のような、厚労省のご都合主義的なやり方はいかがなものかとは思うが、居宅介護支援事業所のケアマネが要支援の利用者についてもケアマネジメントを行えるようになることはいいことだと考えている。

ただし問題は二つある。一つはケアマネジメントの質を担保する観点から、「包括に“一定の関与”を求めていく」という一文である。現在どの程度の関与が行われるか明らかにされていないが、ケアマネジメントの質という視点から見て、現在の居宅介護支援事業所のそれが地域包括支援センターのケアマネジメントに劣っているとは決して思っていない。むしろ予測されるのは介護予防という名による様々な規制、監督を行うことになりはしないのかという心配である。地域包括はほかの仕事で忙しいから介護予防支援計画作成ができないというなら、細かいことは言わず居宅介護支援事業所のケアマネに任せればいいのである。

 次の問題は、ケアマネジメントに対する報酬の問題である。現在要介護1・2の利用者に対する居宅介護支援は1076単位である。しかし、要支援の介護予防支援の場合438単位と半分にも満たない報酬しか支払はれないことになっている。これでは居宅介護支援事業所が指定を受けたとしても要支援の利用者を積極的に受け入れていこうということにはならないであろう。「居宅介護支援事業所が無理なく参画できるよう、報酬を引き上げるべき」と指摘する人は少なくないという報道もある。

 いずれにしても、厚労省は年内に方針を正式決定する予定。包括による“一定の関与”のルールなど、細部はこれから詰めていく。介護予防支援の業務のあり方、報酬の水準なども、今後の論点となる見通しである。

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