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オンライン社会とコミュニケーション

コロナウイルスの感染により社会を大きく変えたものの一つにテレワークやオンライン会議、オンライン授業、ズーム研修等々オンラインを使ったコミュニケーションがどこでもごく普通に行われるようになったことである。しかしそうした人と人の繋がり方に違和感を持っている人も少なくない。

コミュニケーションは相手との信頼関係や関係性によって異なる部分があるので、既知の人ならいざ知らず、相手の人物像がわからない、相手も自分の人物像を把握できない、という状態では適切なコミュニケーションを取るのはなかなか難しい。

確かに発言に際し、的確に情報を伝えることを意識するようになった。しかし自由に意見を述べ合い、話をすり合わせていくことには困難や制約を感じることが多い。それに、日本人は「空気を読む」ことや「状況察する」ことが重視されるハイコンテクスト文化だと言われている。ここでは非言語的なコミュニケーションも多用される。こうした日本人の文化はオンラインでは伝わりにくいのであろう。

 脳科学の面からコミュニケーションを研究している東北大加齢医学研究所所長の川島隆太教授の話を紹介する。

 「脳活動を見てみると、相手と良いコミュニケーションが取れている時には、お互いの脳活動の揺らぎが同期するという現象が起こる。脳活動がシンクロするのです。」「オンラインでのコミュニケーションと対面との違いを定量的に評価するため、こんな実験を行いました。 東北大の学生の協力を得て、学部や性別が同じで、興味関心が似ている人たちを5人一組にして、学部の勉強や趣味など共通するテーマについて、顔を見ながらの対面とズームなどを使ったオンラインとで、それぞれ会話してもらい、脳活動を比較しました。何がわかったかというと、顔を見ながら会話しているときは、きちっと脳反応の周波数で同期現象が見られます。ところがオンラインでは、それが一切見られませんでした。つまりコロナ禍で多用しているオンラインでのコミュニケーションツールは、脳にとってはコミュニケーションになっていない。何もしていないときと同じだということが、科学的には分かりました。同期しないということは、共感状態にない、相手と心と心がつながっていないということを意味しています。」

 

つまり、そこでは情報は伝わるが、相手との感情といった気持ちのやり取り、共感といった心の働きは起きづらいということなのであろう。傾聴、共感的理解といったコミュニケーションを大切にしようとするケアマネジャーにとっては、こうしたオンラインを使ってのコミュニケーションは多分あまり得意としていないのかもしれない。今後、介護支援専門員の法定研修がもっぱらオンラインで行われると言われている。その利便性はありがたいが、研修の在り方としてそれでいいのか、お互いに顔を突き合わせての事例検討に学ぶことも多いはずでありチャットでの意見交換には限界があるのではないかと考えている。しかし、情報伝達の手段としてのオンラインは今後も不可避であることは間違いがない。その対応になれるしかないのであろうか。

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