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ケアマネのつぶやき

居宅介護支援事業所はどう変わる

―令和6年度介護報酬改定をめぐって3―

 ケアマネジャーが働く事業所を居宅介護支援事業所という。この4月の介護保険の改定に伴い居宅介護支援事業所もいくつかの変化を求められている。今回はその改定の中でも2つの点について考えてみたい。

 一つは事業所に働くケアマネジャー(介護支援専門員)の担当員数が変ることとなった。これまでは利用者35人に一人のケアマネジャーがその基準とされていたが、今回の改定で44名の利用者に対してケアマネジャー1人とされた。さらに事務職員を配置しケアプランデータ連携システムを活用している事業所は49人の利用者に対し1名までとされた。つまり一人のケアマネジャーが担当できる利用者の数を大幅に緩和することにより、より多くの利用者を事業所は抱えることが可能となったのである。これまで居宅介護支援事情所は経営的には大変厳しく、赤字事業所が多いといわれていた。これに対し国は、担当する件数を増やすことにより経営的な安定を図りなさいと言っているのである。

 この点について、果たしてそんなに簡単に増やせるかというとそれは疑問だと考えている。確かにベテランでめいっぱい働けるケアマネジャーがこの件数を担当することは可能であろう。しかし実際の事業所には新人もいれば、パートで働くケアマネジャーもいる。

そうして考えるとどこの事業所でもこれだけの基準いっぱいに利用者を増やすことは困難であろう。さらに問題は経営的な観点から利用者を増やすことを現場のケアマネジャーが求められたとき、ケアマネジメントの質の低下が起きることが危惧される。

 さらに「事務職員を配置しケアプランデータ連携システムを活用している事業所」は49人の利用者に対し1名とされているが、この「ケアプランデータ連携システム」が十分稼働していないという現状をどうするかという問題がある。このシステムが稼働すればかなりの業務改善は可能になると考える。しかし現場ではこのシステムの普及は進んでおらず、相変わらずFAXでのやり取りが行われている。その原因はシステム導入にかかる費用負担があると考えられる。国が本気でこのシステムを普及させようとするならこの料金を引き下げるか無料にすればいいのである。

 二つ目の大きな変化は、介護予防支援について居宅介護支援事業所が指定を受けて実施をすることが可能となった点である。これまで介護予防のケアマネジメントはもっぱら地域包括支援センターのみが行うことができるとされていた。それが、地域包括支援センターが忙しいという理由で、その負担軽減のために行われた対応策であった。この件については、私はかねてからこの問題については分断されたケアマネジメントとして批判し、軽度者から要介護者まで一貫したケアマネジメントが必要であると主張してきた。その意味では歓迎されるべき改定であったと評価している。しかし居宅介護支援事業者が行う介護予防支援が472単位と低く設定されたため、どれだけの居宅介護支援事業所が指定を受けることになるのかはわからない。おそらく国が期待したほど地域包括支援センターの業務の軽減にはつながらないのではないかと考えている。

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