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ケアマネのつぶやき

高齢化するケアマネジャー

最近公表された「介護労働実態調査」によれば、ケアマネジャーの平均年齢は53.6歳で介護職員やホームヘルパー、生活相談員といった主な職種の中で最も高かった。年齢構成でみると60歳以上が29.4%と3割を占めている。70歳代で働いているケアマネジャーも5.2%いる。

ケアプランセンターあすかの11名のケアマネジャーの中で5名が70歳を過ぎて頑張っている。さしずめ高齢化が進むケアマネシャーの事業所の中でも先進をいっていると言ってもいいのかもしれない。

問題は、新しい人がケアマネジャーとしてこの世界に入ってこない。ケアマネジャーとして働いていた人が他の職種に転職してしまっている。そして、長年働いてきたベテランが頑張って何とか介護保険の今を支えているのが実態なのであろう。

日本ケアマネジメント学会理事長の白澤政和氏は、先の学会の中でこうした現実を「ケアマネジメントの危機」と表現している。そしてその原因が「専門職としてやりがいのある仕事になっていない点が大きい」と氏は言っている。

この点について、以前このホームページで紹介した長寿社会開発センターが行った、ケアマネジャーを辞めた人に対して行った調査(「ケアプラン作成業務に従事していない介護支援専門員に対する実態調査」)で転職理由の1番目が「仕事内容に魅力を感じられなかった」、2番目が「給与が低い」となっているという調査結果はその問題を考える重要な示唆を与えていると考えられる。

これを私なりに表現すると「その仕事は忙しいし大変な割に社会的に評価されていない」ということではないか。

ケアマネシャーがその仕事の対象とする高齢者や家族の変化は、その仕事の範囲をより幅広く複雑で、多様な支援を必要とすることが求められている。単なる介護サービスの調整では済まない仕事になっているのだ。現に厚労省もこの4月の制度改正に伴い居宅介護支援事業所の特定事業所加算の算定要件に、多様化・複雑化する課題への対応強化のため、「ヤングケアラー、障害者、生活困窮者、難病患者等」に関する知識を持つことが要件に追加された。

こうした仕事に対して介護保険の中で介護サービスの給付に関してのみしかその仕事は評価されないのであるから、その現場でのアマネジャーの仕事は甚だ矛盾に満ちている。

さらに、社会的評価とは職場でどのように処遇されているかである。先に紹介した「介護労働実態調査」によれば、職種ごとの平均月給でみると訪問介護のサービス提供責任者がケアマネジャーを上回っている。これは介護職への処遇改善による賃金の上昇と、処遇改善の対象とならないケアマネジャーという政策の結果であることは間違いない。そうした社会的な評価と現実の仕事の大変さにたいし、働く意欲を失い、ケアマネジャーという大変な仕事を続けるより介護職へと転職が進んでもおかしくはない。

さらにケアマネジャーの負担を大きくしているのが法定研修という義務である。たいして役にも立たない法定研修のために高い受講料を支払い、何十時間もそのために費やさないとケアマネジャーの更新ができない、つまり仕事が続けられないのである。これもケアマネジャーの意欲をそぐ原因の一つだと私は考えている。

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