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ケアマネのつぶやき

8月は祈りの月 

8月はお盆という国民に深くなじんだ風習が今でも残っている。亡くなったご先祖がお盆には帰ってくるとして迎え火や送り火がたかれる祈りの月である。お盆の仏壇に供えられたキュウリの馬とナスの牛がそれを象徴している。

8月はこれだけではない、日本の近代の歴史は8月を特別なものとしている。6日に広島、9日に長崎に原爆が落とされ、15日に敗戦を受け入れ第二次世界大戦が終結したという意味でも、過去を振り返り慰霊と反省の月である。

 今年もその8月を迎えているが気になることがある。先の大戦で多くの兵士や広島、長崎、そして沖縄と多くの国民が大切な命を失っている。そうした戦争被害の側面は慰霊とともに多くのマスコミ等でとりあげられている。各地でも戦争や原爆の被害に関する展示や戦没者の慰霊式典が開催されている。 

しかし、あの大戦は日本の侵略戦争であり、加害者としての側面もある。「大東亜共栄」の名のもとに中国で戦争は始まった。その後「南方」と言われた東南アジアに侵略を拡大していったのは紛れもない事実である。

長野県飯田市の平和祈念館では、旧満州のハルビンに広大な施設を設け、細菌兵器の開発を目的に、捕虜に様々な人体実験を行った旧日本軍の「731部隊」の元隊員らの証言を含むパネル展示が突然中止になった。大阪府・市が出資する財団法人が運営する大阪国際平和センターは15年、加害の展示をすべて撤去した。神奈川県の施設「かながわ県民センター」(横浜市)では16年から毎年、地元の市民団体が731部隊や南京大虐殺などを伝える写真を展示する「戦争の加害パネル展」を開催している。そのたびに「日本をたたくのか」「こんなことをやっているのは朝鮮人だろう」と一部から抗議を受ける。全国の歴史資料館や平和博物館を調査してきた東京大空襲・戦災資料センターの元学芸員、山辺昌彦さんによると、戦後70年の2015年に戦争企画展を行った公共施設は約260カ所あった。1995年の約130カ所から倍増したが、加害の歴史については、開設当初から展示しなかったり、リニューアル時に展示をやめたりする施設が増えていると感じている。「外部からの抗議を恐れ、自治体が自主規制しているのではないか」と話している。

こうした加害者としての日本のあの戦争に関することについて、一方的になかったことにしようとする動きやマスコミの記事は近年顕著になっている。先の大戦における日本軍による戦争犯罪の否定、矮小化を行う「歴史修正主義」と言われている論調である。しかし歴史をまともに振り返ることのないところに、新たな戦争への危惧を感じているのは私だけではない。在日朝鮮人犠牲者追悼式典での安田菜津紀さんは次のように述べている。「加害者の歴史に背を向ける権力者の姿勢は、奪われた命への冒涜であり、今を生きるいのちを軽視しているでしょう。」

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