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つぶやき

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ケアマネのつぶやき

「居宅介護支援事業所における業務の在り方」

―ことの本質は一人暮らし高齢者の問題―

以前にもこの「つぶやき」で「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」で議論されている「居宅介護支援事業所における業務の在り方」についてふれた。厚労省としては「居宅介護支援事業所のケアマネジャーの業務が増加している中、居宅介護支援事業所のケアマネジャーがその専門性を生かし、個々の利用者に対するケアマネジメント業務に注力し、必要な支援が適切に行えるようにするための環境整備」が必要だとしている。要は今のケアマネジャーは本来業務以外の仕事に追われているからその業務を整理しようというのである。確かに日々の仕事の中で、行政機関や医療機関から「ケアマネさんよろしく」となんでも丸投げされ、さらには利用者からは日々の生活から生じる様々な要望に振り回され、これでいいのかと実感しているケアマネジャーは多い。

第5回目の検討会ではこの問題に関して、次のようにケアマネジャーの業務を整理、分類したものが示されている。

業務の類型主な事例
法定業務・利用者からの相談対応 ・関係機関との連絡調整 ・ケアプランの作成
保険外サービスとして対応しうる業務・郵便・宅配便等の発送、受け取り ・書類作成・発送 ・代筆・代読 ・救急搬送時の同乗
他機関に繫ぐべき業務・部屋の片づけ・ゴミ出し。買い物などの家事支援 ・福祉サービスの利用や利用料の支払いの手続き ・預貯金の引き出しや振り込み ・財産管理 ・入院中・入所中の着替えや必需品の調達 ・徘徊時の捜索 ・死後事務

 表で示された「主な事項」は日々の仕事の中でケアマネジャーが現実に対応しなければならないほんの一部である。

 厚労省としてはケアマネジャーの法定業務以外の②③の仕事を地域の多様な主体や市町村、地域包括支援センター、社会福祉協議会、さらには高齢者等終身サポート事業所等にその役割を担ってもらうようにすることでケアマネジャーの負担軽減を図ろうとしている。基本的にはこうした方向で必要な機関や窓口に仕事を振り分け必要なサービスを新たに作っていくとは重要なことだと考えられる。しかし、日々の生活の中で生じるこうしたこまごまとした仕事をその都度「これは〇〇の仕事ですからそちらにご相談ください」ときれいに割り切ることはなかなか難しい。さらに、その一つ一つを担う機関や窓口を作ろうという試みはあまり現実的ではないと考えられる。そのいくつかはこうした方向で解決できるとしても、こうした誰が担うかわからない仕事の一定部分は相変わらずケアマネジャーの仕事として残ると考えられる。

しかし、よく考えてみればここに「主な事例」として示された仕事は、家族がいれば皆家族が行う仕事ばかりである。つまり、一人暮らしの高齢者ゆえに発生している仕事ばかりである。要は一人暮らし高齢者の生活をどう支えていくかという問題として考えることが必要なのではないか。

政府はこの9月13日、高齢社会対策の指針となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定した。その中でも 超高齢社会に対応するための3つの主要施策の一つに「一人暮らし高齢者や認知症高齢者の増加に対応する支援」を示している。おりしも11月12日、国立社会保障・人口問題研究所は、「日本の世帯数の将来推計」を新たに公表した。それによると世帯主が65歳以上の単独世帯は、2050年に1083万9千世帯(2020年比46.9%増)。全ての世帯に占める割合は、2020年時点は全国で13.2%で、20%超の都道府県はゼロだが、2050年時点では32道府県まで上昇する。世帯主が75歳以上の高齢者世帯がこれから急速に増えていく。2050年には全国で1491万世帯を超え、2020年と比べておよそ4割も多くなるとしている。

 要はこうした超高齢社会におけるケアマネジャーの仕事はどうあるべきかという問題として考える時、一人暮らし高齢者の生活の支援を担うケアマネジャーの新たな役割を制度的に位置付けることが必要ではないか。それを介護保険の中で考えるか、それとも高齢者対策の中の施策の一つとして考えるかという問題はその財源問題と絡んで検討されるべきだと考える。同検討会では「ケアマネジャーの業務の在り方」として議論されているが、ことの本質は一人暮らし高齢者の生活支援をどうするかという問題なのである。

 

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