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ケアマネのつぶやき

複雑でわかりづらい介護保険制度

 長寿社会開発センターが行った「高齢者の社会保障に関する意識調査」の結果が公表されている。その中では、介護保険制度に対する高齢者の不満が大きいことが示されている。
調査は、「公的年金制度」「医療及び医療保険制度」「介護保険制度」について高齢者の満足度を問うものであった。その結果は以下の表のとおりである。

 満足度が比較的高かったのが「医療及び医療保険制度」で、逆に不満と答えた解答で一番多かったのが「介護保険制度」である。
それぞれの不満の理由の第一は公的年金制度が「公的年金だけでは生活が厳しい」、医療及び医療保険制度については「月々納付している医療保険料が高い」、介護保険制度については「月々納付している介護保険料が高い」となっており、いずれも経済的な負担に関して不満が高いことを示している。ただし介護保険に関しては不満な理由の2番目に「制度が複雑でわかりづらい」とあるのは、今の介護保険が制度改正の度にその仕組みが複雑になっており利用者(高齢者)から見ると大変利用しにくくなっている現状を示している。ケアマネジャーとしてもこの複雑な介護保険制度を説明するのに日々苦慮しているが、逆に、もしケアマネジャーがいなかったら介護保険は機能しないのではないかとも考えてしまうほど今の介護保険制度は複雑なことは間違いない。

調査では、さらに社会保障の給付と負担のバランスについて聞いているが、回答は以下のようになっている。
「社会保障の給付水準を保つために、ある程度の負担の増加はやむを得ない」 37.3%
「社会保障の給付水準をある程度下げても、従来通り負担すべき」      26.8%
「社会保障の給付水準を大幅に下げて、負担を減らすことを優先すべき」   17.6%
「社会保障の給付水準引きあげるために、大幅な負担の増加もやむを得ない」  2.3%

 さらに、同調査は社会保障の給付と負担のバランスについて考えるうえで興味深い質問をしている。それは「政府に対する信頼感」に関する質問である。
「とても信頼している」と「信頼している」の合計が    10.0%
「信頼していない」「まったく信頼していない」の合計が  61.0%
「どちらとも言えない」                 29.0%
 現在の高齢者の多くは政府を信頼していないのである。ここが今後の社会保障の在り方を考えるうえでも、最も深刻な問題であると考えている。政府が信頼されていないということは、この国においては民主主義的な政治が十分実現していないということである。社会保障の充実は誰しもが望むところである。ではその費用をどうするのかということを考える時、この問題は決定的である。かってデンマークに行ったとき、日本との違いを最も強く感じたのは政治に対する信頼、いや民主主義に対する信頼ともいえる点であった。充実した社会保障制度を実現している北欧の国々は、同時に高い税負担を良しとしている。そこにあるのは民主主義的政治とその上に立つ政府への信頼であった。その国の政治や政府に信頼を持てない国では税金はどこに使われているのかわからないからできるだけ払いたくないのである。

国は「全世代型社会保障」を掲げて、社会保障にかかわる給付の抑制と国民負担の増を図ろうとしている。折から国会では「金と政治」の問題をめぐって「企業・団体献金」の問題が取り上げられている。企業から莫大な献金を受けている政府、与党はこの問題の解決に向き合おうとしていないようである。増々政治不信は広がり、日本の社会保障の未来は不透明になっていくばかりである。

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