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ケアマネのつぶやき

深刻な介護労働者の不足は介護保険の存在を危うくしている

 この地域でも介護人材の不足が深刻化している。新しい年度に入り事業を閉鎖したところやユニット数を縮小した施設等が相次いでいる。いずれも人材不足によるものであると言われている。

 この業界の不人気なのは、何といっても仕事がきついわりに賃金が安いということであろう。こうしたこの業界に働く人たちの賃金の安さを作り出しているのは、その賃金を決めるうえで決定的な、介護に支払はれる介護報酬という国が定める公定価格にあるということである。世の中の企業は「原材料の値上げを企業努力ではどうしようもできないので」と値上げラッシュとなっている。しかし、介護の世界は原材料が値上がりしましたので、値上げさせていただきますとはいかないのである。

 

 こんな中で、介護サービス事業者で組織する11の団体が4月28日、他産業で賃上げの動きが広がっていることを踏まえて対策を講じるよう求める要望書を、自民党へ連名で提出した。その中では、全産業の平均賃金に比べ介護に働く人の賃金は68,000円低いこと、さらに今年の春闘の結果、賃上げ率連合調べで3.69%だったのに対し、介護職員の賃上げ率は1.42%にとどまっている。この結果、介護業界から人材流出が進んでいると指摘している。そして、他産業と同水準の賃上げを介護業界も行えるようにする対策が必要と主張。「今年度の緊急的な措置や来年度の介護報酬改定での対応を実施すること」を求めている。

 介護労働者の賃金の低さは単にそこに働く人たちが増えないということにとどまらない。介護保険という制度は、将来介護が必要になったら介護サービスを受けることができるという約束で40歳を過ぎると皆介護保険料を支払っている。ところが介護で働く人がいないということでサービスが受けられないなら介護保険の根幹が崩れてしまうことになる。しかもそれはすでに始まっている。過疎と言われているこの地域ではホームヘルパーが派遣できない限界集落が点在している。そこに住み続けることを希望すれば、ホームヘルパーの利用は断念しなければならないのである。

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