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国民生活基礎調査にみる「介護の状況」

 前回に続き国民生活基礎調査をみていく。今回は特に「介護の状況」についてみてみたい。

 まず「要介護者等のいる世帯の状況」では、最も多いのが「核家族世帯」の42.1%であり、これに「単独世帯」を加えると72.8%となっている。その中でも「単独世帯」が2000年の15.7%から30.7%と倍に増加している。

 また、「要介護者等のいる世帯」と要介護者の介護度との関係でみると、「単独世帯」では介護度の低い世帯が多く、「核家族世帯」「三世代世帯」では介護度の高い者のいる世帯が多くなっている。これは今の介護保険制度が、家族介護を前提としていることから、要支援等の介護度が低いうちは「単独世帯」でもなんとかなるが、重度になると家族がいないと困難であるということを示していると考えられる。

「主な介護者の状況」では、同居の介護者によって担われているのが45.9%と最も多く、次に別居の家族11.8%、合わせると57.8%が同居、別居を問わず家族の介護となっている。

2019年のこの数値が68%となっており一割程度の減少となっている。同時に介護が事業者に担われているのが15.7%で2019年の12.1%からわずかに増えていることから介護の社会化は,、少しづつ増えていることが読み取れる。

 同居の家族による介護者の内訳は、配偶者が22.9%と最も多く、次いで子による介護が16.2%、三番目が子の配偶者で5.4%となっている。

 次に「要介護者の状況」では、要介護者の年齢が高くなっていることが示されている。90歳以上の要介護者が2001年の14.9%から2022年には26.2%と倍近い伸びとなっている。

特に女性の要介護者の30.9%が90歳以上となっており、女性の要介護者の三人に一人は90歳以上ということになる。

 さらに同調査は「介護が必要になった主な原因」を要介護別に示している。それによると要支援者で一番多いのが「関節疾患」となっており、要介護1~3は認知症、要介護4・5では「脳血管疾患」がその原因の第一位となっている。この数字は介護保険の現場で日々ケアマネジャーとして感じているものとほぼ近いものがある。

 同調査はさらに、要介護者と同居の介護者の年齢の組み合わせをみている。それによれば介護する方も介護される方も60歳以上という組み合わせが一番多く77.1%、次いで65歳以上が63.5%、75歳以上の組み合わせが35.7%となって老々介護の状態が一層進んでいることを示している。

こうした同調査の結果から見えてくる、今日の介護をめぐる状況をやや独断的に素描すると以下のようになる。要介護者の年齢はさらに高くなり超高齢者の介護が一般的となる。しかも年齢が高くなるほど女性の高齢の単身者が増えていくので、これからの介護は超高齢の女性で一人暮らしの人の介護問題とっても過言ではないと思う。

介護が必要な世帯の多くは一人暮らしの高齢者か高齢夫婦の世帯で、家族の介護は期待しにくいにもかかわらず、相変わらず介護の大半は同居別居を問わず、その家族によって担われており、介護する人も高齢化し老々介護がますます多くなっていく。

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