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「ケアマネジャーの仕事の範囲はどこまで」 その2

――ケアマネジメントをめぐる高齢者や家族の変化――

ケアマネジャーの仕事を考えるうえで高齢者や家族の変化は無視できない。その一つは単身者世帯の増加である。ケアマネジャーの仕事の範囲を考える時、独居高齢者の支援は避けて通れない問題である。家族がいれば家族の中で解決、処理される日々の生活や介護の課題が独居高齢者で要支援・要介護状態になった場合、その多くが支援の必要な課題となりそこに係るケアマネジャーの仕事として求められることになる。さらに親戚や地域からも孤立した孤独な高齢者はこの問題をさらに深刻にしている。

そうした独居高齢者が増加している。令和4年版高齢社会白書によれば「65歳以上の一人暮らしの者は男女ともに増 加傾向にあり、昭和 55年には 65歳以上の男女 それぞれの人口に占める割合は男性 4.3%、女 性 11.2%であったが、令和 2年には男性 15.0%、 女性 22.1%となっている。」この割合は今後さらに上昇し、2040年には896万人に達すると予測されている。

 さらに家族をめぐる大きな変化として家族機能の低下、問題を抱えた家族の増加が指摘される。こうした家族の問題を抱えた要介護者の支援は、単に介護サービスの調整や利用者本人の支援のみでは問題の解決を図ることは困難である。家族関係の調整や家族支援もその視野にいれながらの支援が求められる。このことはさらにケアマネジャーの仕事の範囲を不明確なものにする。

「機能不全家族」という言葉がある。「機能不全家族」とは家族としての機能を十分に果たしていないと考えられる家族のことを指す。今日「機能不全家族」として語られる内容の多くは、親と子の関係性にフォーカスしており、アダルトチルドレンや毒親といった言葉とセットで語られることが多い。しかし高齢者世帯で介護が必要になったときにも家族機能の低下した状態で、虐待や介護殺人、さらにはヤングケアラーといった様々な問題を引き起こしている。介護者のストレスから介護鬱を発症してしまったり、親の介護をするために仕事を辞めなくてはならない介護離職などを原因として起こる家族間の不和等、介護を契機に家族の機能不全状態を顕在化させる要介護高齢者の世帯は増えている。こうした高齢者は単身世帯でない故に、家族全体を視野に入れた家族支援もケアマネジャーの仕事になる。こうした高齢者だけではない家族の支援はケアマネジャーの仕事の範囲をめぐる問題をさらに深刻にさせている。

こうした高齢者や家族の変化は、要介護高齢者を対象に仕事をするケアマネジャーの仕事の範囲を複雑なものとし、今後増々、単なる介護サービスの調整では済まない仕事になっていくであろうと考えている。

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