「介護サービス情報公表」は役に立っているのか?
「介護サービス情報公表」というサービスがある。介護サービスを受けようとする利用者をはじめとする、広く一般の人たちに向けて、介護サービス施設・介護事業所が提供する介護サービスの内容や実態を公表するために作られたサービスである。 インターネットを使えれば、だれでもこうした情報を手に入れることができる。
そのため介護事業所は毎年自分の事業所のいろんな情報を入力して介護サービス情報公表センターに報告することとなっている。かなり多くの情報の入力のため事業者は相当の時間を費やすことになっている。それに比べて、その情報がどれほど利用されているのか、常々疑問に思ってきた。
中にはその事業所の職員の定着率がわかったりする面白い情報もある。「基本情報」では「前年度の退職者数」と「従業者数」が公表されている。これらをあわせてみることで、事業所・施設における従業者の定着率をみることができるのである。しかし、如何せん情報が膨大すぎることと、検索方法が複雑なために、この情報を使い切ることはなかなか難しいと感じている。検索方法も示されているが、逆に言うと、詳しい検索方法を説明しなければならないほど、簡単に検索ができないということでもある。利用者にとってもう少し簡単に検索でき、事業所にとっても情報入力の負担が軽減できないものかと考える。
それ以前にもっと問題がある。この情報で施設を調べて、ここに入所をと考えても、そこに入所できるかどうかは全く別問題である。現実には、施設や通所サービスに空きがあって利用できるものであるから、その施設のサービスの質が良さそうだとかとは関係なく、入れてくれる所しか入れないのである。
これは施設や通所サービスだけではなく、在宅で利用する訪問介護事業所や居宅介護支援事業所も同じことがいえる。例えば訪問介護の場合、土日曜日も営業となっていても、実際はほとんどの事業所は土日は新規の利用を受け付けてもらえないのが今のヘルパー不足の現実である。それどころか訪問介護事業所が0と言う市町村が増えている現実もある。
どんなに良い介護サービスの情報提供を行おうと、現場の事業所が人材不足で疲弊していてはその情報も意味はなさないのである。