「史上最悪の介護保険改定」
東京大学名誉教授の上野千鶴子さんや「高齢社会をよくする女性の会」の樋口恵子さんたちが今回の介護保険改定に反対して立ち上がって活動しているのが「史上最悪の介護保険改定を許さない会!」である。
同会が掲げる今回の介護保険改定に反対する5項目は次のとおりである
①→自己負担を2割にするな
➁→要介護1・2の訪問介護、通所介護を地域支援事業・総合事業に移すな
③→ケアプランを有料化するな
④→福祉用具の一部をレンタルから買い取りにするな
⑤→施設にロボットを導入して職員配置を減らすな
現在社会保障審議会介護保険部会で議論されているこれらの案がそのまま国会で法案として通るようなことがあれば、まさに「史上最悪の介護保険改定」となることは間違いないであろう。保険料だけ取っておきながら給付を受けられないといった状況を生み出す国家的な詐欺であり、20年余国民の介護を支えてきた制度を大幅に後退させ、再び介護を家族に押し付けるものである。
介護保険部会に示された資料には「給付と負担のバランスを図りつつ、保険料、公費及び利用者負担の適切な組み合わせにより、制度の持続可能性を高めていくことが重要な課題となっている」としている。これを平たく言えば、介護保険を維持していくためには給付を減らし利用者の負担を増やさなければやっていけません、ということである。果たして利用者の負担を強いること以外に介護保険の制度の持続はできないのであろうか。
介護保険の財源は40歳以上の人が支払う保険料と公費(国と市町村)によって賄われている。詳しい数字はここでは省略するが、国の負担を増やせば制度の持続は十分可能である。ところが、国は高齢化により社会保障に関する費用は年々増加しているからなるべくその費用を抑制したいと考えている。
しかし、一方で大企業優遇税制により巨額の利益を上げていながら法人税ゼロという大企業がある。こうした大企業への適正な法人税の課税をすること。また不要不急の事業によりゼネコンにもうけを作り出している公共事業を見直すこと。さらに軍事費を2倍にして現在の軍事費5・4兆円を11兆円にしようとしていること。こうした財源問題にメスを入れることにより国民、利用者に負担を強いることなく介護保険の制度を維持することは十分可能であると考えている。