自立を考える(その1)
自立には様々なレベルの自立がある。身辺自立・精神的自立・経済的自立・社会的自立等々である。
従来、自立とは「人の世話にならないこと」「自分でできること」といった意味で語られてきた。しかしそれでは、何らかの障害をもって生活をする人々にとって、自立は永遠に実現できないものとなり、ひいては保護されるべき対象として位置づけられことを意味する。高齢者や障害を持った人々の自立を考えるとき新たな自立観が求められる。
自立観の転換
自立とは、福祉サービスをうけないでもすむようになること、あるいは動作が自立することと考えがちである。むしろ、逆に、たとえどんなに重度な障害であっても、彼又は彼女が、地域社会において、主体的に生きる全人的人格者として、その自己実現をはかることこそが、本物の自立である。リハビリテーションではこれを全人間的復権としてリハビリテーションの目標とする。
そこでは、支えられて自分らしく生きる「支えられた自立」を考えなければならない。
その意味で、自立の最も究極的、根本的な中身は、いかに自分らしく生きるか、そのことを自らが決めていく自己決定であると考える。
自己決定は自立の重要な中身であり、自分の運命は自分で決定できる権利(自己決定権)は、人間としての存在自体に侵すことのできない価値があるという人権思想にもとづく基本的人権の問題である。