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ケアマネのつぶやき

自立を考える(その9)

自己決定を促し尊重する支援」の難しさ

今日、介護保険のケアマネジメントの中で自立支援の大切さが指摘されているが、ケアマネジャーが行う要介護高齢者の自立支援の中核的内容となるものが自己決定を尊重した支援であると考える。ケアマネジメントのすべてのプロセスにおいて、利用者の自己決定を尊重した支援は極めて大切な原則であることは明らかである。

要介護高齢者の自立支援ということは、言葉を換えると、障害をもった高齢者がその人らしさ、その人らしい暮らしをどのように取り戻し実現するか、ケアマネジメントはその全過程を通じてそのための援助を展開していくのであるが、その人らしさやその人らしい暮らしとは自己決定を通して可能になるのであり、逆に自己決定のないところにその人らしさやその人らしい暮らしはありえないといっても過言ではない。

しかし、現実の援助過程においてこの原則は様々な問題をはらんでおり、ともすれば利用者の自己決定が軽視されたり、あるいは善意ではあれ、お世話をする人とされる人との上下関係は無意識のうちに利用者を依存的なものとして貶めていないであろうか。

そうした背景には、日本の高齢者のおかれてきた「依存的存在としての高齢者像」も無視することはできない。日本では、欧米と比べ、個の確立がされにくい文化土壌の上に、利用者が『お上の庇護』のもとに被保護者として安住することに慣れやすく、こうした日本的風土(「お任せします」)のなかで育った高齢者にとって自己決定という援助の原則は欧米の実践と比しても生易しいことではないように思える。

要介護高齢者の暮らしが、息子や娘たちの意向で決められ、利用者は「やっかい者」という負い目で口を閉ざすとき、利用者の自己決定はどのように考えられ、ケアマネジャーには何ができるのであろうか。

さらに、認知症高齢者等が増加している中で、判断能力や意思決定、意思の表示に問題を抱えた利用者を前にしたとき、ケアマネジャ-はこの原則を実践の中でどのように援助の実際につなげていくかについて大きな課題と困難に直面しているように思える。

自己決定を尊重した支援という援助の原則が実践の場で有効に機能するためには、援助者の考え方(意識)、援助方法(技術)等の面で解明されるべき課題が多いと考える。

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