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つぶやき

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ケアマネのつぶやき

介護と家族

 最近、人生相談に関する本を2冊ほど読む機会があった。その一冊は高橋源一郎著の「誰にも相談できません みんなの悩み僕のこたえ」。高橋氏は毎日新聞紙上の人生相談のコーナーを長年担当されており、その一部をまとめられたものである。もう一冊は樋口恵子著の「前向き長持ち人間関系の知恵」。これは読売新聞の「人生案内」の中からまとめられたものである。それぞれ長年にわたり人生相談にかかわられた方である。

 2冊の人生相談の本を読んで、改めて相談の大半が人間関係、特に家族のそれであることにびっくりした。「夫のすべてに悪寒が走る」「家族って何ですか」「義母の妄想で犯人扱い」「一人で両親介護 お先真っ暗」等々

 人は長い人生の中でいろんなことに出会い、いろんな人間関係で悩みを抱えながら生きていくのであるが、家族関係の悩みが一番多いというのはその近さ、かかわる時間の長さ等によるものなのかもしれない。

 日本の殺人事件の被害者と加害者の関係で親族関係が一番多く、全件数の過半数が家族を含む親族の中で起こっている。しかもこの傾向は年々増加をしているのである。

「家族は一つこじれると思い通りにはいかない厄介なもの」であり「家族ほどしんどいのもはない」(「家族という病」)という下重暁子の指摘には納得させるものがある。

 前回、「ケアマネジャーは困っています」をまとめる中でも、ケアマネジャーが訪問先の家族関係で困っているという意見がいくつか見られた。ケアマネジャーと言えば、デイサービスやヘルパーさんを組み入れたケアプランを作成し利用者、家族の介護を支援する役割であるのだが、その現実は難しい家族や人間関係の葛藤の中で行われることが多く、そう簡単に事が進むことではないのだ。

 むしろ、家族の中での誰かの介護という新たな事態に直面し、誰が介護を担うのか、家族は新たな関係制を取り結ぶ必要に迫られることが多い。独立して生活していた子供たちが親の介護という事態に対し、長年心の中にしまい込んでいた親との葛藤に再び向き合わなければならないこともある。親の介護を機会に兄弟の関係が悪くなってしまったという話はよく聞くし、また逆の場合もある。

 そんな時、ケアマネジャーが人生相談の達人たちのように、的確な助言や、解決の方向を指し示すことができればどんなにいいかと思うのである。

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