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ケアマネのつぶやき

コロナウイルス対応と介護保険

 今回の新型コロナウイルスは全国的な緊急事態宣言の解除とともに改善の方向に向かいつつあるようだ。もちろん再燃の危険性はあるものの介護業界もひと段落といった感じがある。当地、熊野は幸い一人の感染者を出すこともなく現在を推移しているが、「最初の一人にはなりたくない」という言葉を関係者の中ではよく耳にする。

こうした事態に際して、厚生労働省は矢継ぎ早に「事務連絡」を発出し、「介護サービス事業所の臨時的な取り扱いについて」で従来の運営基準にこだわらず柔軟に対応してもいいということを示した。連日発出されるこれらの文書を見ながら、改めて、日ごろはいかに多くの規則のもとに介護サービスが提供されているのかを感じさせられたりした。

 現場のそれぞれの事業所も、それらの文書等を参考にしながら対応に追われた。しかしコロナウイルス感染に対する危機感、その対処の仕方はそれぞれの事業所、法人によっても微妙に違っていた。つまり非常事態時には、自分の頭で考え、感染から利用者と自らの身を守ることを決めなければならなかったからではなかったのか。

翻って考えると、介護保険という世界でケアマネジャーの仕事をしていると、多くの法律や、通知や、Q&Aを意識しながら行わざるを得ない。このことがともすると現場での己の頭を使った判断や、創意工夫を失わせ、ひいては利用者本位という原則すら危うくしているのではないかと考えることがある。

こうした中で出された事務連絡のなかに「要介護認定の臨時的な取り扱いについて」(令和2年4月7日)というのがあった。この文章の中では「感染拡大防止を図る観点から面会が困難な場合においては、要介護認定及び要支援認定の有効期間を、従来の期間に新たに12か月までの範囲内で市町村が定める期間を合算できることとします。」要するに「面会が困難な場合においては」介護認定調査をうけなくても認定期間を延長することができるとされているのである。こうした中で心臓疾患の術後で、ほかの病気もあり認定調査を受けたくないという利用者と、その家族がいた。ところが当地の保険者はその臨時的な取り扱いを認めず、面会を嫌がる利用者と家族にあくまで認定調査を受けなさいと迫ったのである。利用者と家族はやむなく、認定調査の時期を少しずらして行うことを認めざるを得なかった。かかわったケアマネジャーとしては、利用者の思いをかなえることができなかったことに無念の思いを強くするとともに、非情な保険者の判断に憤りを感じざるを得なかった。

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