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ケアマネのつぶやき

ケアマネジャーの報酬

我々ケアマネジャーは報酬を得て仕事をしているのであり、決してボランティアで働いているのではないし、施設や介護サービス事業所の営業マンとして給料をいただいているわけでもない。多くの利用者の皆さんはその点について、どこからお金が出ているのか、どのように思っておられるのか、一度聞いてみたいと、かねてから私は思っている。

ケアマネジャー(介護保険では介護支援専門員という)の報酬は、介護保険から支払われ、その額は介護報酬として公定価格で決められている。 

 来年春の介護報酬改定に向け、居宅介護支援に関する具体的な議論が始まった。8月19日の社会保障審議会介護給付費分科会では、介護保険サービスの中でも唯一の“赤字”であることから、基本報酬の引き上げを求める意見が続出。また、介護予防ケアマネジメント(予防ケアプラン)の報酬単価の引き上げを求める意見も出た、と報じられている。

同時に、厚労省は居宅介護支援に関する論点として、主に次の項目を示した。
・医療をはじめ、多分野の専門職の知見に基づくケアマネジメントの実現
・保険外サービスなど多様な生活支援を盛りこんだケアプラン作成の推進
・ケアマネジメントの公正中立性の確保
・ケアマネジメントの質の向上
・質の高いケアマネジャーの安定的な確保
・ケアマネが力を発揮できる環境の整備
・地域包括支援センターが担う予防ケアプランの外部委託の促進

 ケアマネジャーが所属する事業所を居宅介護支援事業所というが、この居宅介護支援事業所の平均収支差率がすべての介護サービスの中で唯一マイナスとなっている。介護保険が始まって20年になるが一度もプラスになったことが無い慢性的な赤字事業所になっている。是非ケアマネジャーに対する報酬を適切なもの、すなわち事業として成り立ちうる報酬に引き上げてもらいたいと思う。

しかし考えてみれば、相談支援という仕事が報酬に結び付くようになったのは最近のことである。確かにこれまでも相談支援を業務とする人々は存在していた。しかしそれらは施設の相談員であり、福祉事務所や病院のケースワーカーという人たちであり、独立して相談支援にあたるというものでなく、組織のなかで相談支援業務を担うという位置づけであった。

これが介護保険の開始とともに、相談支援業務を専門的に行うケアマネジャーの仕事に支払われる居宅介護支援費が独自に評価されることとなり。居宅介護支援事業所が単独で業として成り立つことが可能になったのである。その意味で、日本の社会福祉の中でも相談支援業務を業として確立することに可能性を開いた介護保険は画期的であったともいえる。

 確かに居宅介護支援事業が独立して事業所を展開することを可能にしたとはいえ、それを実体化する介護報酬上の措置は不十分なものであった。したがって、こうしたこれまでの組織の中での付属的なサービスの一部門としての相談支援業務の位置づけから抜け出すことは困難だった。結果として介護保険が始まって20年たった今も、その9割の居宅介護支援事業所は施設や在宅サービス事業所の併設となっており、独立した事業所はわずか1割にしか過ぎない。

こうした経緯を踏まえつつも、ケアマネジャーが独立して事業を営むことが可能となる介護報酬が実現されることを強く望む。なぜなら、適正な介護報酬が位置づけれてこそ、厚労省の言う「質の高いケアマネジャーの安定的な確保」「公正中立性の確保」が可能になると考えるのからである。

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