ケアマネジャーの報酬 その2
前回の「つぶやき」で、ケアマネジャーの報酬は、介護保険から支払はれ、その額は介護報酬として公定価格で決められている、と述べた。もう少し詳しく言うならば、利用者に介護サービスを提供するケアプランを作成したことに対する報酬である。さらに、ケアプランには必ず介護保険で指定されている介護サービス、例えば訪問介護や通所介護等のサービスが入っていること、言葉をかえると介護給付の対象となるサービスがあることが前提となる。
しかし、ケアマネジャーの報酬をめぐって、利用者の介護保険利用の給付管理を担う介護支援専門員の役割と、利用者の生活全般を支えようとするケアマネジャーの役割の間にずれが生じており、その結果、一方では利用者の生活全般をトータルに支援しようとするケアマネジャーのタダ働きを生み出し、もう一方では介護保険サービスの給付管理さえすればよしとするケアマネジャーをつくりだしている。
退院が間近の利用者の入院先の病院を訪ね、退院後の生活をどのようにするか、利用者の意向を確認し、家族の意見を聞くために自宅を訪問するといった仕事には、入院中でありサービス利用が発生しないため当然ケアマネジャーの報酬にはならない。
利用者の様々な介護や生活上の相談にのり、場合によっては家族間の調整というなかなか難しい相談支援の活動をおこなったとしても、そして利用所の課題を解決するために、ボランティアの利用や、介護保険外の公的なサービスを提供したとしても、それらは介護サービスの利用がないという理由で、ケアマネジャーの報酬につながらないのである。
ケアマネジャーは、介護サービスを紹介し、提供するケアプランを作成するという仕事だけをやっているわけではない。様々な介護や生活上の課題を抱えた利用者に対し、ご本人の思いや生活への意向を確認しながら、しかも介護が必要となった状態や今後に対する不安や、時として失意のうちにある利用者を励まし、再び生きる意欲を取り戻していただくために様々な働きかけを行う。このような介護保険の給付が派生しないケアマネジャーの仕事は正しく報酬として評価されなければならない。
しかし、その相談支援の一連の業務というのは、その業務を分解してそれぞれに報酬としての評価をすることが元々難しいと言える。したがって個々の業務に加算をつけるといったやり方には無理がある。その意味では基本報酬で適正な報酬の評価が必要であろうと考える。
しかし、当面の介護報酬改定に際して、少なくとも、ケアマネジャーのタダ働きともいえる次の二点の改善は強く主張したい。
まず第一に、退院支援にかかわるケアマネの業務の評価である。今は退院に際して病院等の職員とカンファレンスを行う等の病院との連携の仕事は退院退所加算といったかたちで評価されているが、それとは別に利用者本人家族と関わった相談支援も評価されるべきであると考える。同時にこれが在宅復帰となり介護給付が発生しない場合でも介護報酬として評価できるようにすべきであると考える。
第二に、ケアマネジャーは利用者に様々な社会資源をつなげて支援を行う。それが単に介護サービスだけでないことは多くの人が認めていることである。したがって、介護サービス以外のフォーマル、インフォーマルのサービスをケアプランに位置付けた場合でも、居宅介護支援費が請求できるようにしていただきたいと強く願う。