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ケアマネのつぶやき

この地域でも「受領委任払い」の実現を

 介護認定を受けた高齢者に、手すりを付けたり段差の解消のための工事をすることができる住宅改修をすすめると、「あと何年生きるかわからないのに、そんなことにお金はかけるのはもったいない」という返事が返ってくることが多い。長年馴染んできた家であり、今までなんとか生活できていたのに、何をいまさら、という思いもあるのであろう。同時に介護保険を利用した住宅改修は、後で9割分が返ってくるのであるが、とりあえず全額を支払ってもらわなければならない。仮に、20万円の工事を行った場合、利用者にはいったん20万円を業者に支払ってもらい、その後介護保険に申請すれば9割分の18万円が本人に戻ってくるという仕組みである。限られた年金収入をあてに暮らしている高齢者にとって、後で返ってくるとはいえ、この20万円の負担は大きいものがある。

この問題を解決できる仕組みがある。それが「受領委任払い制度」である。

介護保険での福祉用具購入費及び住宅改修費(介護予防を含む)の支給は、利用者がいったん費用の全額を支払い、その後に申請をして保険給付分(9割)の支払を受けるという、いわゆる「償還払い」を原則としている。 一方、「受領委任払い制度」は、特定福祉用具販売及び住宅改修の利用者の支払を、初めから1割分で済むようにすることで、利用者の一時的な負担を軽減するための制度である。残りの9割分については、利用者の委任に基づき、保険者から受領委任払い取扱事業者に直接支払うことになる。 

高齢者の転倒、骨折はその後の生活を一変させ、最悪の場合は寝たきりや入院生活による認知症の進行をもたらすことはよく知られている。結果、医療費や介護費用の増大をもたらすものとなっている。福祉用具の利用や住宅改修でこのリスクを少しでも抑えることができれば利用者にとっても、保険者にとってもとても大きな利益をもたらすことは間違いない。

全国の多くの市町村でこの「受領委任払い制度」が認められており、つつましく日々の生活を営む高齢者の在宅生活を保障するものとなっている。残念ながらこの地の保険者はこの制度の利用を認めていないため、この地域に暮らすことにより、少なくない不利益を被ることとなっている。一日も早く「受領委任払い制度」がこの地域でも実現することを強く願ってやまない。

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