1. HOME
  2. ブログ
  3. ケアマネのつぶやき
  4. 居宅介護支援に求められる「公正中立」て、一体なに?

つぶやき

つぶやき

ケアマネのつぶやき

居宅介護支援に求められる「公正中立」て、一体なに?

 介護保険は3年に一回見直しが行われ、制度や報酬が改定される。今は、この4月1日からの改定の対応のため、介護保険事業者や関係の組織は必死になっている。その中でケアマネジャーとして気になることがある。

この3年に一回の改定に際して、いつも課題とされている一つが、ケアマネジャーやケアマネジャーが働く居宅介護支援事業所の公正中立をめぐる問題である。

「利用者に提供される指定居宅サービス等が特定の種類又は特定の指定居宅サービス事業者等に不当に偏することのないように公正中立に行わなければならない」というのが厚労省の考えで、これまでもこの点をめぐって様々な対策がケアマネジャーに求められてきた。 

ケアプランを作るケアマネジャーに、特定の事業者のサービスが8割を越えたら減算が必要とされている「特定事業者集中減算」という仕組みを作り、厚労省はこの問題をケアマネジャーの責任で何とかしようとした。

3年前には、居宅介護支援の開始に際し「利用者は複数の指定居宅サービス事業者等を紹介するように求めることができること。利用者は居宅介護サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者の選定理由の説明を求めることができること」を説明するようにケアマネジャーに求めた。

そして今回は、「前6ヵ月間に作成されたケアプランの総数のうち、訪問介護、通所介護、福祉用具貸与、地域密着型通所介護がそれぞれ位置付けられたケアプランが占める割合。 前6ヵ月間に作成されたケアプランに位置付けられた訪問介護、(地域密着型)通所介護、福祉用具貸与ごとの回数のうち、同一の事業者によって提供されたものが占める割合(上位3位まで)を利用者に懇切丁寧に説明し、それを理解したことについて、利用者の署名を得なければならない」とケアマネジャーに新たに求めることとなった。

ケアマネジャーでないと上記のこの文章はよくわからないし、大学の入試問題もかなわないほどの難解な文章であることを承知の上で引用させていただいた。要は「わが社では、訪問介護では○○事業所を一番たくさん利用しています。2番目は▽▽事業所で、3番目は□□事業所です」ということを利用者にきちんと説明しなさいということである。これを聞いた利用者はいったい何を考えるのであろうか。この説明により「利用者に提供される指定居宅サービス等が特定の指定居宅サービス事業者等に不当に偏することのないように」なるとはすぐには思えない。正直言って、役にも立たないこんな仕事をケアマネジャーにさせないでほしいと思う。

 但し、今回の改定では公正中立に役立ちそうな改定も行われた。特定のサービスについて、限度額いっぱいのサービスを計画している高齢者住宅併設のケアマネジャーの事業所を特定し、点検・検証を行うということになっている。現場で公正中立がもっとも疑われているのは、こうした高齢者住宅で、その住宅併設の事業所のサービスを限度額いっぱい使っている、あるいはその併設のサービスしか認めないといった実態がある。もちろんそれが必要なサービスなら問題はないが、比較的元気な高齢者で、そんなに身体介護が必要なのか疑ってしまうようなこともあるのも事実である。こうした現実に対して、是正しようというのが今回のこの改定である。ただこの改定も実際どのように運営されるかは今後の保険者の対応次第であろう。

 

しかし、こうしたサービス付き高齢者住宅は国の政策として推進されてきたものである。高齢者施設への入所を希望する、いわゆる多くの待機高齢者の存在に、国は高齢者施設の増設ではなく、こうしたサービス付き高齢者住宅として、多少の補助金をつけることにより民間にまかせた。その結果、全国に雨後の筍のようにサービス付き高齢者住宅が誕生したのである。 こうしたサービス付き高齢者住宅では、介護保険サービスを使うことを前提に料金設定がされているのがほとんどであるから、当初からこうした問題は予想されていたはずであるから、何をいまさらという感じもある。

 いずれにしても、こうした国の政策から生じる矛盾の尻拭いをケアマネジャーに求められるのであるから、ケアマネジャーもなかなか悩ましく大変な仕事なのである。

関連記事