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ケアマネのつぶやき

複雑化する介護報酬

  介護保険が提供するサービスは介護保険が始まったころから比べるとサービスの種類が増えると同時に、様々な加算がつくことになり大変複雑になっている。

介護保険で提供されるサービスはそれぞれに介護報酬という公定価格の料金が設定されている。それぞれの介護報酬にはサービスコードという6桁の番号が付けられている。最初の2桁はサービスの種類を表している。訪問介護は「11」、通所介護は「15」、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は「51」となっている。そして残りの4ケタはサービスの提供時間、方法、人員基準、施設基準などに応じて細かく分かれている。

例えばヘルパーが提供する訪問介護の場合、112049と言うサービスコードは30分以上1時間未満の身体介護をさすことになっており、475単位と決められている。この地域では1単位が10円となっているので、4750円である。その1割または2割を利用者に支払っていただくことになっている。

 多くの皆さんにご利用いただいているデイサービス(通所介護)の場合、そのデイサービスの規模により「通常規模型」「大規模型」「地域密着型」に分かれており、それぞれに利用時間の長さによって変わってくる。例えば「通常規模型」デイサービスで5~6時間の利用は152341というサービスコードで567単位となっている。さらに、これに加算がつく。どの加算をつけるかはそれぞれの事情所によって違うが、入浴した場合、入浴加算Ⅰ(40単位)または入浴加算Ⅱ(55単位)が加わる。加算はその他「「生活機能向上連携加算」「ADL機能維持加算」「栄養アセスメント加算」「口腔機能向上加算」等があり、介護報酬が改定になるたびにこの加算は増え続けている。加算だけでなく減算というのもある。この結果介護保険創設の頃よりサービスコードの数は14倍に増えているといわれている。

 特に加算が多いのが老健施設の提供するデイケア(通所リハビリ)である。この地域のある通所リハビリの事業所のサービスは8種類の加算がついている。これら加算の意味を利用者の皆さんに説明することはほとんど不可能であると言っていい。例えばそのうちの一つに「科学的介護推進体制加算」という今年から新設された加算がある。これは利用者にいったいどのように説明するのであろうか。

 こうした介護報酬の複雑化の結果、介護保険というものが利用者からみて大変わかりにくいもの、関係者からすると説明するのに大変苦慮するものとなっている。本来介護保険は「被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。」(介護保険法第2条3項)のであるから、そのサービスのわかりやすさは大切な原則でなければならないと考える。利用者にもわかりやすい、ケアマネジャーから言わせれば「説明可能な」介護サービスの料金体系であってほしい。改めて、介護報酬の簡素化が望まれる。

同時に、こうした介護報酬の複雑化は、現場における事務的負担の増加を生み出す要因ともなっている。

では、なぜこのようにサービスコード数が増え、複雑化しているのか。それは、国が報酬全体を抑えるため、基本単価に手を付けずに「●●を実施すれば加算」「××を満たさないと減算」といった形で、政策的誘導を含め加算あるいは減算措置を相次いで設定しているためである。つまり、コード数増加の背景には介護保険財政の逼迫という問題があることも指摘しておかねばならない。

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